よって、今、僕が待っている人は麻生さんではない。
そう、今日はリハーサルなのだ。
「おお、マジメくん待った?」
白いワンピース姿の葵さんが手を後ろにまわしてニコリと笑っていた。
今日のリハーサルの相手だ。
麻生さんとのデートの前に同じシチュエーションでリハーサルをすることになったのだ。
僕は私服姿の葵さんに見惚れた。
学校での制服姿とは印象が全く違う。
女の子って服でこんなにも変わるものなんだ。
「どうしたの?」
彼女がボーっとしていた僕の顔をのそっと覗き込む。
やめて欲しい。余計に緊張する。
「もしかして緊張してる? 大丈夫だよ、今日はリハーサルだからね」
無理を言わないで欲しい。
制服姿以外の女の子と二人きりでいること自体、僕にとって一大事なんだ。
「先に待ってるなんてなかなか良い心掛けだよ。で、今日はどこ行くんだっけ?」
「渋谷だよ。フェルメール展をやってるんだ」
「フェルメール?」
渋谷に行くためJR線に乗り込む。
土曜日の山手線は学生と買い物客でけっこう混んでいた。
僕は彼女との立つ距離感が分からず、少し離れて立っていた。
それを見た彼女が僕に近づいてくる。
「ちょっと、どうしてそんなに離れるの?」
「あ、ごめん!」
そんな僕を見ながら彼女はクスッと笑った。
二十分ほどで渋谷駅に着く。
人でごった返している改札を抜けると、ニュースでよく観るスクランブル交差点に出た。
観光客や買い物客などテレビで観る以上に混みあっていた。
その中を波をかき分けるように前へと進む。
渋谷ってこんなに人が多いところだったんだ。
よくもこんなに人が集まるもんだ。
「迷子にならないでね」
心配そうな顔で彼女が振り返る。
小学生じゃあるまいしと高をくくっていたが、油断をすると本当に迷子になりそうだった。
ようやくの思いでフェルメール展の会場まで辿りつく。
すると、会場の入口から外階段までかなり長い行列が続いていた。
予想外の込み具合にちょっと度肝を抜かれる思いがした。
これは中に入れるまでかなり時間がかかりそうだ。
「すごい人だね。こんなに人気あるんだ」
「本当。僕もびっくりだ」
僕たちは半ば茫然としながら列の最後尾へと並ぶ。
やはりカップルが多い。
「へえ、こういうのが好きなんだ」
そう、今日はリハーサルなのだ。
「おお、マジメくん待った?」
白いワンピース姿の葵さんが手を後ろにまわしてニコリと笑っていた。
今日のリハーサルの相手だ。
麻生さんとのデートの前に同じシチュエーションでリハーサルをすることになったのだ。
僕は私服姿の葵さんに見惚れた。
学校での制服姿とは印象が全く違う。
女の子って服でこんなにも変わるものなんだ。
「どうしたの?」
彼女がボーっとしていた僕の顔をのそっと覗き込む。
やめて欲しい。余計に緊張する。
「もしかして緊張してる? 大丈夫だよ、今日はリハーサルだからね」
無理を言わないで欲しい。
制服姿以外の女の子と二人きりでいること自体、僕にとって一大事なんだ。
「先に待ってるなんてなかなか良い心掛けだよ。で、今日はどこ行くんだっけ?」
「渋谷だよ。フェルメール展をやってるんだ」
「フェルメール?」
渋谷に行くためJR線に乗り込む。
土曜日の山手線は学生と買い物客でけっこう混んでいた。
僕は彼女との立つ距離感が分からず、少し離れて立っていた。
それを見た彼女が僕に近づいてくる。
「ちょっと、どうしてそんなに離れるの?」
「あ、ごめん!」
そんな僕を見ながら彼女はクスッと笑った。
二十分ほどで渋谷駅に着く。
人でごった返している改札を抜けると、ニュースでよく観るスクランブル交差点に出た。
観光客や買い物客などテレビで観る以上に混みあっていた。
その中を波をかき分けるように前へと進む。
渋谷ってこんなに人が多いところだったんだ。
よくもこんなに人が集まるもんだ。
「迷子にならないでね」
心配そうな顔で彼女が振り返る。
小学生じゃあるまいしと高をくくっていたが、油断をすると本当に迷子になりそうだった。
ようやくの思いでフェルメール展の会場まで辿りつく。
すると、会場の入口から外階段までかなり長い行列が続いていた。
予想外の込み具合にちょっと度肝を抜かれる思いがした。
これは中に入れるまでかなり時間がかかりそうだ。
「すごい人だね。こんなに人気あるんだ」
「本当。僕もびっくりだ」
僕たちは半ば茫然としながら列の最後尾へと並ぶ。
やはりカップルが多い。
「へえ、こういうのが好きなんだ」