「どう見ても悩んでるでしょ。まさか、今更になってデートが嫌だなんて言わないよね?」
「嫌っていう訳じゃないんだけど……困ってる」
今まで僕は悩みがあっても友達に相談することはなかった。
でも、あまりにもズケズケとした彼女の言い方は僕の心を崩し、つい本音を漏らした。
「困ってるって? 何を?」
「僕、女の子とデートどころか、まともに喋ったこともないんだ」
やけに素直に話してしまった自分にびっくりした。
「喋ったこともないの?」
「うん」
「本当にマジメくんなんだね」
僕はその言葉にまたムッとした。
「あ、ごめん。悪い意味で言ってるんじゃなよ」
彼女は申し訳なさそうな顔になる。
「あのさ……そんなに悩まなくてもいいんじゃないの?」
「僕も別に悩みたくて悩んでるわけじゃないんだけど……」
ちょっと機嫌が悪くなったことを察したのか、彼女は困った顔をして悩み始めた。
「そうだ! リハーサルしようよ」
彼女が目を大きく広げながら叫んだ。
「何? リハーサルって?」
「リハーサルっていうのは、本番の前に同じように練習することだよ」
「そんなこと聞いてないよ。一体、何のリハーサル?」
「デートだよ。デートのリハーサル」
「は?」
彼女の話す言葉が僕の中で咀嚼できずに通り抜ける。
「何事も自信が無ければ練習をすればいいんだよ。どっかのオリンピック選手が言ってたよ。自信を付ける方法として練習に勝るものは無いって」
「デートのリハーサルをするっていうの?」
「そうだよ。デートは日曜だから前日の土曜日でどう?」
「どうって何を?」
「だからリハーサルだよ! 君、人の話聞いてる?」
「あの……誰と?」
「会話の流れからして私しかいないでしょ」
話の展開についていけないのは僕の頭の回転が鈍いせいなのだろうか?
その時、校内に昼休み終了の鐘が響いた。
「あ。昼休み終わっちゃう。じゃあまたね。真面目なハジメくん」
そう言うと、彼女は足早に階段を降りていった。
デート?
リハーサルって何?
ひとり残された僕は状況が把握できずに呆然とたたずんでいた。
土曜日、快晴。
僕は駅前広場で人と待ち合わせをしている。
生まれて初めての女の子との待ち合わせだ。
全身に異様なほどの緊張感が走る。
でも麻生さんとのデートは明日の日曜日だ。
「嫌っていう訳じゃないんだけど……困ってる」
今まで僕は悩みがあっても友達に相談することはなかった。
でも、あまりにもズケズケとした彼女の言い方は僕の心を崩し、つい本音を漏らした。
「困ってるって? 何を?」
「僕、女の子とデートどころか、まともに喋ったこともないんだ」
やけに素直に話してしまった自分にびっくりした。
「喋ったこともないの?」
「うん」
「本当にマジメくんなんだね」
僕はその言葉にまたムッとした。
「あ、ごめん。悪い意味で言ってるんじゃなよ」
彼女は申し訳なさそうな顔になる。
「あのさ……そんなに悩まなくてもいいんじゃないの?」
「僕も別に悩みたくて悩んでるわけじゃないんだけど……」
ちょっと機嫌が悪くなったことを察したのか、彼女は困った顔をして悩み始めた。
「そうだ! リハーサルしようよ」
彼女が目を大きく広げながら叫んだ。
「何? リハーサルって?」
「リハーサルっていうのは、本番の前に同じように練習することだよ」
「そんなこと聞いてないよ。一体、何のリハーサル?」
「デートだよ。デートのリハーサル」
「は?」
彼女の話す言葉が僕の中で咀嚼できずに通り抜ける。
「何事も自信が無ければ練習をすればいいんだよ。どっかのオリンピック選手が言ってたよ。自信を付ける方法として練習に勝るものは無いって」
「デートのリハーサルをするっていうの?」
「そうだよ。デートは日曜だから前日の土曜日でどう?」
「どうって何を?」
「だからリハーサルだよ! 君、人の話聞いてる?」
「あの……誰と?」
「会話の流れからして私しかいないでしょ」
話の展開についていけないのは僕の頭の回転が鈍いせいなのだろうか?
その時、校内に昼休み終了の鐘が響いた。
「あ。昼休み終わっちゃう。じゃあまたね。真面目なハジメくん」
そう言うと、彼女は足早に階段を降りていった。
デート?
リハーサルって何?
ひとり残された僕は状況が把握できずに呆然とたたずんでいた。
土曜日、快晴。
僕は駅前広場で人と待ち合わせをしている。
生まれて初めての女の子との待ち合わせだ。
全身に異様なほどの緊張感が走る。
でも麻生さんとのデートは明日の日曜日だ。