自分のペースでしか進めないと言ったほうが正しい。
要は他人にペースを合わすことができないのだ。
「ごめんね。僕はいつもこんなふうに暗い感じなんで」
いじけたような態度を見て、彼女はクスッと笑った。
やっぱり僕の苦手なタイプかもしれない。
「昨日あれからどうだった? 菜美ちゃんと……」
「え?」
突然の質問に僕は思わず戸惑う。
「どう・・・・だったって?」
「あのあと、菜美ちゃんと話したんでしょう?」
そうだ。よく考えたら、今悩んでるのはこの子のせいじゃないか?
あの時、僕に声を掛けたから麻生さんに告白しなきゃいけないハメになったんだ。
いや、違う。僕は何を言ってるんだ。
彼女を恨むどころか礼を言うのがスジだろう。
僕は頭の中で自問自答を繰り返していた。
「あの、昨日はありがとう」
「お礼はいいから。で、どうだったのよ?」
彼女は僕の懸命の礼儀をあっさりかわすと、すぐに気安い感じでグイグイと迫ってくる。
その勢いのある圧に僕はちょっと後ずさる。
「あの……明後日の日曜日に一緒に渋谷に行くことになったんだ……」
「すごい! やったじゃん! もうデートにこぎつけたの。見かけによらずマジメくんもなかなかやるね」
「いや、葵さんのおかげだよ」
「あれ? 私の名前知ってるんだ」
彼女はちょっと嬉しそうな顔をする。
「あの……麻生さんから聞いた。ごねんね」
「別に謝ることないよ。そっかそっか。うん。私は葵涼芽ね。よろしく……って私のことはどうでもいいよね」
本当に軽く感じの子だ。
こういう性格は口下手な僕からすると羨ましい。
「あれ? スズメって本名じゃなかったの?」
「ああ、涼芽の芽が『め』だから『スズメ』って読めるでしょ。だからみんな私のことスズメって呼んでる。君もそう呼んでいいよ」
何だ。僕と同じようなモンじゃないか。
つまらないところで親近感を持つ。
「ところでマジメくん、君、苗字は?」
「ああ……冴木……だけど」
「で、冴木くんはせっかくデートすることになったのに、どうしてそんな暗い顔しながら悩んでるのかな?」
口ぶりはまるで全国こども電話相談室だ。
「別に悩んでないよ」
そんなにあからさまに悩んでいるように見えたのだろうか。
要は他人にペースを合わすことができないのだ。
「ごめんね。僕はいつもこんなふうに暗い感じなんで」
いじけたような態度を見て、彼女はクスッと笑った。
やっぱり僕の苦手なタイプかもしれない。
「昨日あれからどうだった? 菜美ちゃんと……」
「え?」
突然の質問に僕は思わず戸惑う。
「どう・・・・だったって?」
「あのあと、菜美ちゃんと話したんでしょう?」
そうだ。よく考えたら、今悩んでるのはこの子のせいじゃないか?
あの時、僕に声を掛けたから麻生さんに告白しなきゃいけないハメになったんだ。
いや、違う。僕は何を言ってるんだ。
彼女を恨むどころか礼を言うのがスジだろう。
僕は頭の中で自問自答を繰り返していた。
「あの、昨日はありがとう」
「お礼はいいから。で、どうだったのよ?」
彼女は僕の懸命の礼儀をあっさりかわすと、すぐに気安い感じでグイグイと迫ってくる。
その勢いのある圧に僕はちょっと後ずさる。
「あの……明後日の日曜日に一緒に渋谷に行くことになったんだ……」
「すごい! やったじゃん! もうデートにこぎつけたの。見かけによらずマジメくんもなかなかやるね」
「いや、葵さんのおかげだよ」
「あれ? 私の名前知ってるんだ」
彼女はちょっと嬉しそうな顔をする。
「あの……麻生さんから聞いた。ごねんね」
「別に謝ることないよ。そっかそっか。うん。私は葵涼芽ね。よろしく……って私のことはどうでもいいよね」
本当に軽く感じの子だ。
こういう性格は口下手な僕からすると羨ましい。
「あれ? スズメって本名じゃなかったの?」
「ああ、涼芽の芽が『め』だから『スズメ』って読めるでしょ。だからみんな私のことスズメって呼んでる。君もそう呼んでいいよ」
何だ。僕と同じようなモンじゃないか。
つまらないところで親近感を持つ。
「ところでマジメくん、君、苗字は?」
「ああ……冴木……だけど」
「で、冴木くんはせっかくデートすることになったのに、どうしてそんな暗い顔しながら悩んでるのかな?」
口ぶりはまるで全国こども電話相談室だ。
「別に悩んでないよ」
そんなにあからさまに悩んでいるように見えたのだろうか。