背後から別の女の子の声が響いた。

「ちょっと待って! 言いたいことあるならハッキリ言いなよ!」

背後で知らない声が響いた。

 ―え? 何?

振り向くと、少し長めのボブの髪をした女の子が立っていた。

僕は一瞬、何が起きているのか理解ができず、その場に立ちすくんだ。


何? 
何が起きた?

この子はいったい誰だ?

「ほら、言いたいことがあるんでしょ!」

その女の子は僕のほうを見ながらイライラした口調でさらにけしかける。

知ってる子だっけ? 
どこかで見たことあるような気がするが、知らない子だ。
でも、どうしてそんなことを僕に言うんだ?

僕は言葉に詰まった。
麻生さんも何が起きているのか分からない様子で戸惑っていた。

しかし彼女の言葉に追い込まれた僕は、開き直って覚悟を決めることができた。

 ――よし、行け!

「あの、麻生さん、僕、名倉って言います。と、と……友達に……なってもらえませんか?」

言った。
ついに言った。

しかし自分が想定していたのとは違い、何かぎこちなく無茶苦茶カッコ悪い感じになってしまった。

麻生さんはまだ黙ったまま固まっていた。
かなり引いているようにも見える。

僕みたいな冴えないヤツが告白なんておこがましい、と呆れているのだろうか。

そのまま返事は無かった。
どうやら僕の生まれて初めての告白はダメだったようだ。

「ごめんね。わかった」

ショックを受けながら諦めて帰ろうとした時だ。

「あ、待って!」

麻生さんが慌てたように叫んだ。
僕はその声にびっくりして振り返る。

 ――え?

「あ……あの、私で……よければ」
「え、本当?」
「友達で……よければ……」
「もちろん!」

 ――やった!

心の中でガッツポーズをした。
まるで青春漫画のシーンを見ているようだった。

僕にこんな勇気があるなんて思わなかった。

やっぱりうるう日は奇跡が起こる日だったんだ。
勇気を出してよかった。

あれ? 
そう言えばさっき声を掛けてくれた女の子は誰だ? 

そう思い後ろを振り向いた。
しかし、さっきのポニーテールの女の子の姿はなかった。

「あの、さっき後ろで叫んでた女の子、知ってる?」
「え? あの……スズメちゃんのこと?」
「スズメ……ちゃん?」