「ねえ、タコ焼き食べたくなった。買ってきてよ」
「え? だって売ってなかったんでしょ」

「じゃあ、一緒に捜しに行こ!」

彼女は僕の手をぎゅっと握ると坂道を強引に登り始める。
こちらを全く振り向かずに、ひたすらに僕の手を引っ張った。

「ちょっと・・・痛いよ」

でも、その痛さがまんざらではなかった。

彼女は今、どこを見ているのだろうか。

これからはずっと同じ景色を見ていきたい。

身体に受ける海風の冷たさと彼女の手の温もりのコントラストが心地よかった。