その国では、うるう日は奇跡が起きる神聖な日とされているらしい。

その決戦の日、戦いの前に王子は王女に恋の告白をする。
戦いが終わったあとに結婚の約束をしていたが、この戦いの勝利と引き換えに王女は死んでしまった。

とても悲しかったけど、心が暖まるストーリーだった。

私は思わずそのノートに応援のメッセージを書いた。
でも無我夢中で書きこんだあと、ふと我に還った。

私は何をしてるんだ? 
人のノートを勝手に読んで、さらに勝手に書き込むなんて。

罪悪感と恥ずかしさが同時に込み上げてくる。
大体、応援メッセージを書いたはいいけど、どうやってこのノートを渡すんだ?

直接彼に渡す? 
いやいや、内気な私にそんなことできるわけがない。

それに勝手に読んでしまって、彼に嫌われてしまうかもしれない。
さらに勝手にメッセージを書き込むなんて。

怒られるかな? 普通怒るよね。
うん、きっと怒るに違いない。
といって、これを返さない訳にもいかないし・・・。

長く悩んだ末、忘れ物として用務室に届けることにした。
でも書き込んでしまったメッシージはどうしよう? 
インクだから消せないし、まして破いて捨てるわけにもいかない。

ごめん。許してね。

そう心の中で謝りながら用務室へ向かった。