文庫本をひたすら読みふけりながら、黙々と渡るマジメくん。
でも、ゆっくり、ゆっくりと、まるでお婆さんの遅い歩みに合わせるように歩いていた。
渡り終わったあと、お婆さんは彼にお礼を言おうとしてた。
けれど彼はお婆さんの顔も見ずに無愛想にそのまま行ってしまった。
お婆さんは彼の後ろ姿にずっとお辞儀してた。
最初はなんて愛想の無い男の子だなあって思った。
だけどあれは彼の照れ隠しだったのかもしれない。
本当はすごく優しい人なんだろうな。
そう思った。
それから私は彼のことがずっと気になるようになっていた。
私は、ひょんなことから彼が昼休みに屋上にあるペントハウスの上にいることを知った。
私もさりげなく昼休みをここで過ごすようになった。
彼はいつもノートを広げ、一生懸命に何かを書いていた。
昼休みにまで勉強かな?
本当に真面目な人だな。
その日も彼はいつもと同じようにペントハウスの上でノートに何やら書いていた。
私はいつも彼の様子を見ていた。
気づかれないようにこっそりとね。
すると彼は突然立ち上がり、慌てて逃げるように階段を降りていった。
どうしたんだろう?
何かあったのかな?
心配に駆られながら彼が座っていた場所に目をやる。
すると、そこに彼がいつも大事そうにしていたノートが置きっぱなしになっていた。
私は後を追いかけようとすぐにノートを拾いに行った。
しかし、既に彼の姿は見えなかった。
そのノートを手に取った私は、いけないとは思いながらも好奇心に負けて中を開いた。
すると、そこには縦書きの文字がびっしりと敷き詰められていた。
何これ? 作文?
いや、違う。勉強のノートでもない。
物語だ。
どうも彼は小説を書いているらしい。
私は気がつくとその小説を読み始め、その物語の世界に惹きこまれていった。
ストーリーの舞台は中世のヨーロッパのようだった。
ある強大な軍事国家がまわりの小国を次々に征服していった。
そのうちのひとつの小国の王子が主人公で、ヒロインがもうひとつの小国の王女。
どちらもその軍事国家の奴隷となり虐げられていた。
この二人が恋に落ち、その後二人で力を合わせ、他の国々の奴隷の人たちと一緒になってその軍事国家に対して反乱を起こすというストーリーだ。
その決行日は二月二十九日。
でも、ゆっくり、ゆっくりと、まるでお婆さんの遅い歩みに合わせるように歩いていた。
渡り終わったあと、お婆さんは彼にお礼を言おうとしてた。
けれど彼はお婆さんの顔も見ずに無愛想にそのまま行ってしまった。
お婆さんは彼の後ろ姿にずっとお辞儀してた。
最初はなんて愛想の無い男の子だなあって思った。
だけどあれは彼の照れ隠しだったのかもしれない。
本当はすごく優しい人なんだろうな。
そう思った。
それから私は彼のことがずっと気になるようになっていた。
私は、ひょんなことから彼が昼休みに屋上にあるペントハウスの上にいることを知った。
私もさりげなく昼休みをここで過ごすようになった。
彼はいつもノートを広げ、一生懸命に何かを書いていた。
昼休みにまで勉強かな?
本当に真面目な人だな。
その日も彼はいつもと同じようにペントハウスの上でノートに何やら書いていた。
私はいつも彼の様子を見ていた。
気づかれないようにこっそりとね。
すると彼は突然立ち上がり、慌てて逃げるように階段を降りていった。
どうしたんだろう?
何かあったのかな?
心配に駆られながら彼が座っていた場所に目をやる。
すると、そこに彼がいつも大事そうにしていたノートが置きっぱなしになっていた。
私は後を追いかけようとすぐにノートを拾いに行った。
しかし、既に彼の姿は見えなかった。
そのノートを手に取った私は、いけないとは思いながらも好奇心に負けて中を開いた。
すると、そこには縦書きの文字がびっしりと敷き詰められていた。
何これ? 作文?
いや、違う。勉強のノートでもない。
物語だ。
どうも彼は小説を書いているらしい。
私は気がつくとその小説を読み始め、その物語の世界に惹きこまれていった。
ストーリーの舞台は中世のヨーロッパのようだった。
ある強大な軍事国家がまわりの小国を次々に征服していった。
そのうちのひとつの小国の王子が主人公で、ヒロインがもうひとつの小国の王女。
どちらもその軍事国家の奴隷となり虐げられていた。
この二人が恋に落ち、その後二人で力を合わせ、他の国々の奴隷の人たちと一緒になってその軍事国家に対して反乱を起こすというストーリーだ。
その決行日は二月二十九日。