そう、実は彼のほうもその友達のことが好きだったのです。

元々その彼女が出る幕はなかったのね。

彼とその友達はめでたく付き合うことになりました。
彼女も友達と彼が幸せになってくれて良かったと思いました。

          ☆ ☆ ☆ 

「じゃーん! パッピーエンド!」
彼女はドヤ顔をしながら叫んだ。

「え? 今ので終わり?」
僕も思わず叫んだ。

「どう? 使えそう?」
得意げな顔で僕を見つめる。

「言っちゃなんだけど、この話、オチも捻りも無くない?」
「オチ、いるの?」
「あのね・・・・・」

呆れながら彼女を見る。

これが彼女自身のことを言っていることは嫌でも分かった。
でも、どういうつもりで言っているのかが分からなかった。

「あのさ、これフィクション?」
僕は意地悪にちょっと嫌味っぽく訊いた。

「当たり前じゃん。あ、でもヒロインが美少女ってところだけノンフィクションかも」

「何だよ、それ。大体この話、ハッピーエンドになってないし」
「えー、そうかな?」

僕はふうっと大きくため息をついた。

「僕は少しストーリーを変えたほうがいいと思うな」
「どんなふうに?」

「この彼がヒロインの彼女を好きになってしまうっていう展開はどうかな?」

僕は惚けたように問いかける。

「なるほど。そういう展開もありか。思いつかなかったな・・・」

彼女も惚けたように答えた。

「ヒロインの彼女はどうして彼のことを好きになったのかな?」
「さあ? そこは君が考えてよ」

そこが一番知りたいんだけど・・・。

「その子は本当に彼のことが好きだったの?」 
「うん、とっても好きだったよ・・・」
「彼を好きだったのに、どうして彼のことを友達に譲ったの?」

その質問に彼女は黙ったまま俯いた。

「どうしてだろうね? そこも君が考えてよ」

どうやら肝心なところは教えてくれないようだ。

「そうだな。ヒロインは病気だったって設定はどう? それもかなり重い。そのことを気にして彼と付き合うことができなかった・・・ていうのはどうかな?」
彼女は呆れたように笑った。

「ヒロインが病気って設定はベタすぎない?」
僕だってそんな設定にしたくない。