席にケーキとドリンクが届くと、テンションが上がった。見るからに美味しそうなんだもん。
あたしと翔太先輩は、声を合わせて『いただきます』と言って、ケーキを食べ始めた。
「美味しい」
「だろう、一番はイチゴショートなんだけど、家では今夜も家ではイチゴショートになるから、俺はタルトにしたんだ」
「家もイチゴショートだよ。近所のコンビニに頼んだから、あたしはイチゴショートでも良かったかも」
「やっぱり、男と女はスイーツに関する考えが違うんだな。改めて思った」
「そうだね。基本的に女の子は甘いものは別腹だからね」
「そろそろ、他の甘い別腹をあげようかな」
翔太先輩の言いたいことが何なのか? すぐに分かった。
あたしも今日は何があっても逃げないって──覚悟をしている。いつも恥ずかしくて、逃げてばかりだったが、今日は何があっても逃げないって決意をした。
ケーキ屋さんを出ると、あたし達は再び歩き出した。次に向かった場所は水族館だった。門限の5時まであと3時間しかないから、映画は難しいと思って水族館にした。
水族館は思ってたよりも暗くて、翔太先輩の顔が近付いてくるのが分かった。
えっ!? こんな所で……だけど、逃げないって決めてるんだけど、誰かに見られたら恥ずかしいって気持ちの方が強い。