メールの内容は【近くまで来たから】だった。
私はいつでも出掛けられるように、準備万端にしていたから、急いで家を飛び出した。外は寒くて手袋をしているのに、すぐに指先が冷えた。
「──翔太先輩、寒いから手を繋いでもいいですか」
「喜んで。澄香からそんなこと言うなんて、珍しいな」
確かにそうだよね……初めて自分から手を繋ぎたいなんて言ってしまった。
ちょっと恥ずかしくて、顔が火照ってきたけど、自分から言った以上、拒否は出来ないので翔太先輩と手を繋いだ。
翔太先輩の手は温かくて繋いでいて、心地良いので、ずっと繋いでいたいなって思った。
「澄香は何が食べたい?」
「ケーキ」
「澄香はそう言うと思ってたから、美味しいケーキ屋さん見つけておいたんだ。今から行こう」
「はい」
翔太先輩に手を引かれ、目的のケーキ屋さんに向かった。やはりクリスマスイブなだけあって、お店は混雑していた。こんなに並んでいたら何時間待ち?と感じてしまう。
「そんなに待ち時間は無いと思うよ。クリスマスケーキの持ち帰りで並んでいる人が多いだけ。今日は俺らみたいに、店内で食べようとしてる人は……ほとんど居ないから」
「そうなんですか?」
言われてみれば、大きな箱を抱えた人が次々に店を後にしている。
今日はクリスマスイブだから、此所のケーキを買いに来た人がこれだけいるってことか。
行列は前はどんどん居なく無くなり、後ろに新たに出来るを繰り返している。
あたしは、翔太先輩から勧められた『イチゴのミルフィーユ』とカフェオレを注文、翔太先輩はイチゴタルトとミルクティーを注文して店内に入った。