ある週末、あるお店に美久は留依とやってきていた。胸をどきどきさせながら。
そこは初めて入るお店だった。入り口から美久はびくびくしてしまったくらい。
ちょっとオシャレな病院にも見えるようなそのお店は……コンタクト屋さん、である。
「こんにちはー」
留依がいつも通りの明るい挨拶をしてお店のカウンターへ進むと、にこっと笑ってくれたのは、病院の受付にいるような白衣を着たお姉さん。
「いらっしゃいませ。初めての方ですか?」
「えっと、私は初めてじゃないんですけど……」
留依はちらっと横を見た。美久と目が合う。
美久はどきっとした。これから本当に作るのだと感じてしまって。
そのやりとりでお姉さんは事情を察してくれたらしい。
「かしこまりました。良ければそちらへどうぞ」
「ありがとうございます。ほら、美久、座ろ」
受付のお姉さんはにこっと笑ってくれて、奥の椅子を示してくれた。美久もおずおずと「お、お邪魔します」と椅子に腰かけた。
「今日はこの子のコンタクトを作りたいんです」
留依が美久を示してくれる。眼鏡をかけているのは美久だけなので、すぐにわかったかもしれないが、お姉さんは優し気に「かしこまりました」と言ってくれた。
そう、今日はコンタクトを作りに来た。
これも『変化する』ための一歩である。
本当はコンタクトなんて気が進まなかった。それでずっと眼鏡であったのだし。
目になにかを入れるのも怖いし、手入れが大変とも聞いていたし、眼鏡で困ることなんてなかったのだ。外したときに視力がぐんと落ちるのでちょっと見づらいくらい。
だからこのままでいるつもりだったのだけど、留依に勧められたのだ。「コンタクトにしてみるのはどう?」と。
それは美久が「ちょっと視力が落ちちゃったみたいだから、眼鏡を変えようかなって思って」なんて何気なく言ったことを受けてだった。
勿論、美久は慌てた。
「大変だって聞くよ」
「それに眼鏡で困らないんだし」
「目に入れるのも怖いし」
でも全部留依に論破されてしまった。
「私も使ってるんだよ。お休みの日だけだけど、瞳の色が変えられるやつがあってさ。意外とあっさりつけられるし痛くもないよ」
瞳の色が変えられたり、オシャレに使うコンタクトもあるそうだ。そんなものを知っていておまけに使っているとは流石留依である。
そのように留依に押し切られてしまって、家でおずおずと「コンタクトにしてみようかなと思うんだけど……」と相談しても「高校生だし、いいんじゃないかしら」とあっさり許可が下りてしまったのである。美久にしては、留依からもお母さんからも背中を勢いよく押されたようなものだった。
そんなわけでコンタクト屋さん。
そこは初めて入るお店だった。入り口から美久はびくびくしてしまったくらい。
ちょっとオシャレな病院にも見えるようなそのお店は……コンタクト屋さん、である。
「こんにちはー」
留依がいつも通りの明るい挨拶をしてお店のカウンターへ進むと、にこっと笑ってくれたのは、病院の受付にいるような白衣を着たお姉さん。
「いらっしゃいませ。初めての方ですか?」
「えっと、私は初めてじゃないんですけど……」
留依はちらっと横を見た。美久と目が合う。
美久はどきっとした。これから本当に作るのだと感じてしまって。
そのやりとりでお姉さんは事情を察してくれたらしい。
「かしこまりました。良ければそちらへどうぞ」
「ありがとうございます。ほら、美久、座ろ」
受付のお姉さんはにこっと笑ってくれて、奥の椅子を示してくれた。美久もおずおずと「お、お邪魔します」と椅子に腰かけた。
「今日はこの子のコンタクトを作りたいんです」
留依が美久を示してくれる。眼鏡をかけているのは美久だけなので、すぐにわかったかもしれないが、お姉さんは優し気に「かしこまりました」と言ってくれた。
そう、今日はコンタクトを作りに来た。
これも『変化する』ための一歩である。
本当はコンタクトなんて気が進まなかった。それでずっと眼鏡であったのだし。
目になにかを入れるのも怖いし、手入れが大変とも聞いていたし、眼鏡で困ることなんてなかったのだ。外したときに視力がぐんと落ちるのでちょっと見づらいくらい。
だからこのままでいるつもりだったのだけど、留依に勧められたのだ。「コンタクトにしてみるのはどう?」と。
それは美久が「ちょっと視力が落ちちゃったみたいだから、眼鏡を変えようかなって思って」なんて何気なく言ったことを受けてだった。
勿論、美久は慌てた。
「大変だって聞くよ」
「それに眼鏡で困らないんだし」
「目に入れるのも怖いし」
でも全部留依に論破されてしまった。
「私も使ってるんだよ。お休みの日だけだけど、瞳の色が変えられるやつがあってさ。意外とあっさりつけられるし痛くもないよ」
瞳の色が変えられたり、オシャレに使うコンタクトもあるそうだ。そんなものを知っていておまけに使っているとは流石留依である。
そのように留依に押し切られてしまって、家でおずおずと「コンタクトにしてみようかなと思うんだけど……」と相談しても「高校生だし、いいんじゃないかしら」とあっさり許可が下りてしまったのである。美久にしては、留依からもお母さんからも背中を勢いよく押されたようなものだった。
そんなわけでコンタクト屋さん。