週末の二日間はあっという間だった。朝から集まって、作業をして、たまに休憩して、お昼にはお弁当やパンなんかを食べて、また夕方まで作業。その二日間。
 大変だった。
 おまけに休みがなかった状態で明日からそのまま学校があると思うと、ちょっと気が重くはある。
 けれどそのぶん作品のできは良くなったはずだ。
 浅葱の絵はもう完成、となっていた。直すところなんて、見ていけばまだまだいくらだって思いついてしまうだろう。
 それは副部長の森屋先輩が先日、お説教をする際に言っていた通り『絵に終わりはない』からである。
 それでもコンテストに出す『作品』とするならどこかでおしまいとしなくてはならないのだ。
 その『おしまい』。
 いいタイミングで『おしまい』にできたと思う。
 納得できるだけ、作りこめた。
 だからこの二日間はとても充実していたし、大切な二日間だったと思う。


「お疲れ様でした!」
 夕方。普段の下校時間の少し前。
 蘇芳先輩によって一旦の『解散』が言い渡された。
 みんな片付けをして帰り支度をはじめる。
 大体のひとたちは、浅葱と同じくもう完成としているようだった。
 そうでないひとは明日の部活で仕上げるのだろう。
 それでも遅くまではいられない。
 部活動のある部活も多いとはいえ、夜遅くまで学校が開いているわけではないからだ。平日と違って出勤している先生も少ないだろうし。
 なのでお疲れ様、の挨拶をして浅葱は帰ることにした。
 絵も完成した。明日は最後の見直しだけ。心から満足していたし安心していた。
「浅葱! 一緒に帰っていい?」
 そこへたたっと駆けてきたのは萌江だった。
 浅葱はちょっと驚いた。
 蘇芳先輩が手伝ってくれていたのを見ていたのだ。てっきりまだぎりぎりまで作業するのかと思っていた。
 浅葱の思ったことはわかったのだろう、萌江はきまりの悪そうな顔をした。
「……遅くまで根を詰めたらいけないって。帰れ、って言われちゃった」
「……そうなんだ。じゃ、帰ろうか」
 浅葱はふっと笑った。
 萌江のしたことは良くなかったことだったかもしれない。
 けれどあれ以来、萌江は今までよりずっと真面目に取り組んでいたと思う。それは心を入れ替えて……というかはわからないが。少なくとも、本気でこの絵を完成させたい。そういう気持ちだったのは確かなはずだ。