蘇芳先輩と二回見たイルミネーション。駅前のもので、それほど豪華というわけではないのかもしれない。
でも浅葱にとってはこれだってやはり、今まで生きてきた中で一番美しいものだった。
赤と緑がメインできらきら輝くイルミネーション。
どうしてか、前回見たとき、蘇芳先輩に告白されたときだが、そのときとは違って見えるような気がした。
どうしてだろう、と浅葱は思ったけれど、隣にいる蘇芳先輩の顔を見てなんとなくわかるような気がしてしまった。
蘇芳先輩は優しい表情をしていた。イルミネーションに視線を向けていたけれど、浅葱が先輩を見ていることを感じたのかこちらを見てくれた。ふっと笑顔になる。
その笑顔はあのときや、もっと前。青のライトアップを見たときとはまったく違っていて。
浅葱がとても大切な存在だ。その目はそう言っていた。
浅葱もつられたように笑ってしまう。きっと優しい笑い方になっただろう。
恋人同士になった。まだ一ヵ月くらいのお付き合いだけど順調に進んでいるのだ。
はっきり感じられて胸があたたかくなってしまう。
「綺麗だな」
蘇芳先輩が言った言葉はシンプルだったけれど、たくさんの気持ちが込められている声をしていて、きっと浅葱と同じように感じてくれているのだろうと、伝わってくる。
浅葱は蘇芳先輩に握ってもらっていた手に力を入れた。自分からもきゅっと握る。
「はい。とっても」
しっかり手が触れあった。
蘇芳先輩が手を動かして、するっと浅葱の小さな手の指の間に自分の指を絡めてくれたからだ。
かぁっと浅葱の顔がまた熱くなってしまう。
こういう繋ぎ方。
恋人繋ぎ、とか言ったと思う。
普通に手を繋ぐより、もっとしっかり手がくっつく。
てのひらまで合わさるのだ。
「言っただろ。こういう綺麗なものを一緒に見てくれるひとになってほしい、って」
蘇芳先輩は浅葱の手とぴったり合わせてくれて、目を見つめて、言ってくれた。
告白してくれたときに言ってくれた言葉。
それを本当のことにしてくれるのだ。
真面目で、誠実なひと。
この優しいひとが自分の恋人、彼氏だなんて。
浅葱の胸が熱くなる。感動とか、誇らしさとか、嬉しさとか、良い感情が次々に湧き上がってきて、溢れそうだ。
「だから俺はとても幸せなんだ。ありがとう。六谷」
「私こそですよ」
その気持ちのままに自然に言葉になっていた。
浅葱の返事に蘇芳先輩の目が緩む。
愛しい、という気持ちがいっぱいになった瞳だ。
不意に蘇芳先輩が動いた。手が離される。
あれ、と浅葱は思ったのだけどその疑問は一瞬だった。
蘇芳先輩の手は上に向かっていって、浅葱の頬に触れたのだから。
ここまでしっかり触れ合わせていたのだ。蘇芳先輩の手はあたたかかった。
心地いい。
そう感じてしまって、けれどすぐにはっとした。
この状況。
わからないはずがない。
空気が告げていた。どこか甘いような空気が。
でも浅葱にとってはこれだってやはり、今まで生きてきた中で一番美しいものだった。
赤と緑がメインできらきら輝くイルミネーション。
どうしてか、前回見たとき、蘇芳先輩に告白されたときだが、そのときとは違って見えるような気がした。
どうしてだろう、と浅葱は思ったけれど、隣にいる蘇芳先輩の顔を見てなんとなくわかるような気がしてしまった。
蘇芳先輩は優しい表情をしていた。イルミネーションに視線を向けていたけれど、浅葱が先輩を見ていることを感じたのかこちらを見てくれた。ふっと笑顔になる。
その笑顔はあのときや、もっと前。青のライトアップを見たときとはまったく違っていて。
浅葱がとても大切な存在だ。その目はそう言っていた。
浅葱もつられたように笑ってしまう。きっと優しい笑い方になっただろう。
恋人同士になった。まだ一ヵ月くらいのお付き合いだけど順調に進んでいるのだ。
はっきり感じられて胸があたたかくなってしまう。
「綺麗だな」
蘇芳先輩が言った言葉はシンプルだったけれど、たくさんの気持ちが込められている声をしていて、きっと浅葱と同じように感じてくれているのだろうと、伝わってくる。
浅葱は蘇芳先輩に握ってもらっていた手に力を入れた。自分からもきゅっと握る。
「はい。とっても」
しっかり手が触れあった。
蘇芳先輩が手を動かして、するっと浅葱の小さな手の指の間に自分の指を絡めてくれたからだ。
かぁっと浅葱の顔がまた熱くなってしまう。
こういう繋ぎ方。
恋人繋ぎ、とか言ったと思う。
普通に手を繋ぐより、もっとしっかり手がくっつく。
てのひらまで合わさるのだ。
「言っただろ。こういう綺麗なものを一緒に見てくれるひとになってほしい、って」
蘇芳先輩は浅葱の手とぴったり合わせてくれて、目を見つめて、言ってくれた。
告白してくれたときに言ってくれた言葉。
それを本当のことにしてくれるのだ。
真面目で、誠実なひと。
この優しいひとが自分の恋人、彼氏だなんて。
浅葱の胸が熱くなる。感動とか、誇らしさとか、嬉しさとか、良い感情が次々に湧き上がってきて、溢れそうだ。
「だから俺はとても幸せなんだ。ありがとう。六谷」
「私こそですよ」
その気持ちのままに自然に言葉になっていた。
浅葱の返事に蘇芳先輩の目が緩む。
愛しい、という気持ちがいっぱいになった瞳だ。
不意に蘇芳先輩が動いた。手が離される。
あれ、と浅葱は思ったのだけどその疑問は一瞬だった。
蘇芳先輩の手は上に向かっていって、浅葱の頬に触れたのだから。
ここまでしっかり触れ合わせていたのだ。蘇芳先輩の手はあたたかかった。
心地いい。
そう感じてしまって、けれどすぐにはっとした。
この状況。
わからないはずがない。
空気が告げていた。どこか甘いような空気が。