そのあとは二階や三階で別のゲームをした。
 メインでプレイしている音楽ゲームは違うものだったけれど、お互いのものも少しはプレイしていることが判明して、浅葱は嬉しくなってしまったものだ。
 一曲ずつそれぞれのゲームで対戦して、ほかのゲームもした。
 太鼓を叩くやらシューティングをするやらだ。
 太鼓はたまにやるのだが、シューティングは初めてだったので蘇芳先輩が教えてくれた。
「銃を固定させて撃つんだよ。そうすると軌道が安定する」
 うしろから手を沿えるように教えてくれたので距離が近くて、うっすらと伝わってくる体温に浅葱はどきどきしてしまった。
 こんなこと、恋人同士じゃなければ絶対にしない、と思ってしまって。
 どきどきしつつも蘇芳先輩のアドバイスどおりに何発も撃ってみて。
 はじめは外れてばかりだったけれど、そのうち当たるようになってきた。
 最後のほうにはクリティカルヒットも出せて、蘇芳先輩に「なかなか筋がいいじゃないか」とまで褒められた。
 これはただのゲームだけど、手を抜くことなく丁寧に教えて、おまけに褒めてくれるのだ。
 対戦は当たり前のように蘇芳先輩が大差で勝ちだったけれど「またやろうな」と言われて浅葱は頷いていた。
 一緒に遊べるのも嬉しかったが、このゲームの楽しさを蘇芳先輩が教えてくれたから。
 またやりたい、と純粋に思ってしまったのだ。
 そう思わせるように体験させてくれた蘇芳先輩は、やっぱりすごいひとなんだなぁ。浅葱はもう何度目かもわからない感動を覚えてしまう。