『カッコー♪ー、カッコー♪ー』
信号機の音響が
鳴っている。歩行者はない。
どうやら、停電区域を出たらしい。と、シオンは ホッと一息ついた。
シオンは、ルイが運転する車で、助手席にいる。
後部座席には、後ろ向きに、レンが シオンの鞄を枕に、寝転がっているのが、ミラーから分かった。
「レンは!壊れたな!」
そう 言って、ルイは ウシシッと面白そうに口端を上げる。
「こわれたー。こわれたねー!」
シオンも、フロントガラスから 琵琶湖を見たまま、ルイに合わせた。
湖面が キラキラしている。今日は 嘘みたいに、晴れた1日になるだろう。
「アイツさ、変なヤツだったけど、いいヤツだよな? ま、知らねーけどよぉ。」
BGMもラジオも 点けないまま、ルイは車を走らせている。
「なんか、天然っぽいかも?だけどー、あの仕事、あってるんじゃない? てか、知らないけどねー。」
斎場から なかなか、動こうとしないレンを、無理矢理 ルイの車に乗せて、シオン達は 車を走らせた。
そこで、シオンは ルイに、折角だから 湖畔の道を 走って欲しいと頼んだのだ。
「しっかしよ、びっくりしたよなぁー。アイツ なんか言ってたろ?今日は 多いだとか、なんとか。マジだったな!」
ルイは 指をわざわざ 1本、シオンの頬に出す。それを グイッと 戻して、
「霊柩車、3台だもんねー。」
と その光景を思い出して、シオンは笑った。
炉前室で、決壊したように泣く レンを 、シオンとルイは、抱きしめた。
夏に、三人丸まって、抱き合いそのまま、眠った日のように。
それから、レンを真ん中に、三人は 横に繋がったまま、斎場外に出る。
レンは、号泣は しなかったが、涙を流すのを すぐには、止めなかった。
だから、シオンとルイも 付き合い、玄関外にあった 石のベンチに座っていたのだ。
ルイは、そのまま石のベンチに 仰向けに横たわった。その ままになった。
昨日から、ずっと『喪主の気負い』もあったのだろう。
シオンと、ルイは、雪が残る 斎場の玄関外で、斎場の門の 向こうを見ながら、なんとはなく 話をしていたのだ。
さっき 炉前室で 仕込んでいたカイロが、そろそろ冷えてきたから、ルイの車に積んでいる カイロを追加で、開けようか?と 思っていた。
すると 急に、門の外から 立て続けに 霊柩車が入ってきたのだ。
それも、3台続けてだった。
ルイも 門から続々と侵入する 霊柩車に、呆気にとられている。
そうすると、マイクロバスが、その後に3台と、乗用車が2台入ってくる。遅れて タクシーも。
新米火夫が 言っていたように、今日は 予約が 怒涛のように入っている らしい。
雪で遅れていた、職員らしきスタッフも 何人か 通り過ぎていく。
先輩かな?っと、シオンは思った。
玄関が にわかに慌ただしくなり、
さすがに、このままでは居づらい。まだ 寝転がっているレンを、無理矢理起こして、ルイの車で 斎場を後にしたのだった。
「アイツ、あんな感じだと、先輩とか ゆーヤツに、けっこー扱かれるタイプだよ?なあ?」
やっぱり ルイは、ウシシッと笑っている。
「かもねー。」
シオンは、相づちを打って、
「でも、あの人なら、あたしも、最後は 焼いて貰いたいかも。」
本心から、言葉を口にした。もしかしたら、その頃には カリスマ火夫かも?と思ってしまったのだ。
シオンも、ルイみたいに、ウシシッと笑った
と、後部座席数から
「アイツ、シオン、気に入ったんだよ。」
と あからさまに、不機嫌な レンの声がする。
「壊れてたんじゃねーのか?レン?」
ミラーごしに、ルイがレンの背中を見るのが 分かる。
「・・・」
とくに、返事はないので、シオンは 話をすすめる。そもそも、『変なの』に 気に入られるのは、シオン的には 今更だ。
「ねぇ、てかさ、ルイ。これ、何処向かってんの?」
まだ、湖畔沿いの道路を ルイは走らせているが、 行き先は聞いていない。
「決まってる?オレん店だろ?」
ハンドルを握って、ルイは嬉しそうだ。
「堅田のカフェレストラン?!ー」
「イエーっス!。 レンは 壊れてんだろ? 適当ーに、野洲にでも 下ろすからよ、来いよ、オレんとこ。飯だすし。」
そう ルイが シオンに顔を向けた と 同時に、ルイの頭に カイロがぶち込まれた。
「あだっ!!って、レン 運転してんぞ!事故る気かぁ!」
片手で、頭を擦るルイから、シオンは、後部座席に 目をやる。
積んでいた、段ボールから まだ カイロを手にした、『氷の貴公子』が、
いつの間にか 降臨している。と、シオンは 嘆息をついた。
「・・・」
無言のレンを 見たまま、シオンはレンとルイに
「大津で 下ろしてくれる? あたし、船の時間が ある。」
と、 笑顔で 伝えた。
「あたし、まだ 旅の途中なんだよ。」
信号機の音響が
鳴っている。歩行者はない。
どうやら、停電区域を出たらしい。と、シオンは ホッと一息ついた。
シオンは、ルイが運転する車で、助手席にいる。
後部座席には、後ろ向きに、レンが シオンの鞄を枕に、寝転がっているのが、ミラーから分かった。
「レンは!壊れたな!」
そう 言って、ルイは ウシシッと面白そうに口端を上げる。
「こわれたー。こわれたねー!」
シオンも、フロントガラスから 琵琶湖を見たまま、ルイに合わせた。
湖面が キラキラしている。今日は 嘘みたいに、晴れた1日になるだろう。
「アイツさ、変なヤツだったけど、いいヤツだよな? ま、知らねーけどよぉ。」
BGMもラジオも 点けないまま、ルイは車を走らせている。
「なんか、天然っぽいかも?だけどー、あの仕事、あってるんじゃない? てか、知らないけどねー。」
斎場から なかなか、動こうとしないレンを、無理矢理 ルイの車に乗せて、シオン達は 車を走らせた。
そこで、シオンは ルイに、折角だから 湖畔の道を 走って欲しいと頼んだのだ。
「しっかしよ、びっくりしたよなぁー。アイツ なんか言ってたろ?今日は 多いだとか、なんとか。マジだったな!」
ルイは 指をわざわざ 1本、シオンの頬に出す。それを グイッと 戻して、
「霊柩車、3台だもんねー。」
と その光景を思い出して、シオンは笑った。
炉前室で、決壊したように泣く レンを 、シオンとルイは、抱きしめた。
夏に、三人丸まって、抱き合いそのまま、眠った日のように。
それから、レンを真ん中に、三人は 横に繋がったまま、斎場外に出る。
レンは、号泣は しなかったが、涙を流すのを すぐには、止めなかった。
だから、シオンとルイも 付き合い、玄関外にあった 石のベンチに座っていたのだ。
ルイは、そのまま石のベンチに 仰向けに横たわった。その ままになった。
昨日から、ずっと『喪主の気負い』もあったのだろう。
シオンと、ルイは、雪が残る 斎場の玄関外で、斎場の門の 向こうを見ながら、なんとはなく 話をしていたのだ。
さっき 炉前室で 仕込んでいたカイロが、そろそろ冷えてきたから、ルイの車に積んでいる カイロを追加で、開けようか?と 思っていた。
すると 急に、門の外から 立て続けに 霊柩車が入ってきたのだ。
それも、3台続けてだった。
ルイも 門から続々と侵入する 霊柩車に、呆気にとられている。
そうすると、マイクロバスが、その後に3台と、乗用車が2台入ってくる。遅れて タクシーも。
新米火夫が 言っていたように、今日は 予約が 怒涛のように入っている らしい。
雪で遅れていた、職員らしきスタッフも 何人か 通り過ぎていく。
先輩かな?っと、シオンは思った。
玄関が にわかに慌ただしくなり、
さすがに、このままでは居づらい。まだ 寝転がっているレンを、無理矢理起こして、ルイの車で 斎場を後にしたのだった。
「アイツ、あんな感じだと、先輩とか ゆーヤツに、けっこー扱かれるタイプだよ?なあ?」
やっぱり ルイは、ウシシッと笑っている。
「かもねー。」
シオンは、相づちを打って、
「でも、あの人なら、あたしも、最後は 焼いて貰いたいかも。」
本心から、言葉を口にした。もしかしたら、その頃には カリスマ火夫かも?と思ってしまったのだ。
シオンも、ルイみたいに、ウシシッと笑った
と、後部座席数から
「アイツ、シオン、気に入ったんだよ。」
と あからさまに、不機嫌な レンの声がする。
「壊れてたんじゃねーのか?レン?」
ミラーごしに、ルイがレンの背中を見るのが 分かる。
「・・・」
とくに、返事はないので、シオンは 話をすすめる。そもそも、『変なの』に 気に入られるのは、シオン的には 今更だ。
「ねぇ、てかさ、ルイ。これ、何処向かってんの?」
まだ、湖畔沿いの道路を ルイは走らせているが、 行き先は聞いていない。
「決まってる?オレん店だろ?」
ハンドルを握って、ルイは嬉しそうだ。
「堅田のカフェレストラン?!ー」
「イエーっス!。 レンは 壊れてんだろ? 適当ーに、野洲にでも 下ろすからよ、来いよ、オレんとこ。飯だすし。」
そう ルイが シオンに顔を向けた と 同時に、ルイの頭に カイロがぶち込まれた。
「あだっ!!って、レン 運転してんぞ!事故る気かぁ!」
片手で、頭を擦るルイから、シオンは、後部座席に 目をやる。
積んでいた、段ボールから まだ カイロを手にした、『氷の貴公子』が、
いつの間にか 降臨している。と、シオンは 嘆息をついた。
「・・・」
無言のレンを 見たまま、シオンはレンとルイに
「大津で 下ろしてくれる? あたし、船の時間が ある。」
と、 笑顔で 伝えた。
「あたし、まだ 旅の途中なんだよ。」