それなら、余りにも、祖父の所業は意地悪だと シオンは 心中で愚痴る。
こんな 死して尚、孫の心内を、暴くのは、酷いんじゃないだろうか。
自然と、シオンの目が細まった。
シオンは 被る毛布の影から、隣に座るレンと、
ついた片手を枕に、寝転がっているルイを 見る。
お祖父様、無言に揶揄するのは、
やっぱり 意地悪でしょ?
子どもみたいに、レンとルイと シオンが 重なって また寝れたら、いいのにと、シオンは 思うが、
恐らく、叶わない事も 分かっている。
祖父は 初めから知っていたのでは ないだろうか?
なんでも見通してた 祖父には、シオン達の姿は、予定調和だったのか?
それも、聞く事は、できない。
ふと、まだ 停電しているのだろか。そう 考えを 冷ましながら 、シオンは 二人に切り出した。
「ねぇ、レン、ルイ、お祖父様のお葬式って、出てた?」
シオンは、静かに問う。
祖父の葬儀は、あの最後の夏の日から 間もなくだった。
シオンの母は、相変わらず 叔母に怒りを 拗らせたままで、祖父の葬儀は、何とか シオンも 参列は出来たが、時間は僅かしか許されなかった。
何より 葬儀当日、祖父の弔問客があまりに多過ぎた。
式場は もとより、弔問の列は、野外に長蛇の列を作り、弔問客の波で、シオンは レンやルイの姿を、見ることが出来なかったのだ。
「凄かった。あれは、尋常じゃない。」
一度シオンの目を見て、レンは 記憶を巡らせるような 顔をする。
それは ルイも同様で、思い出すように、拳を額に当てた。
「どこかの、政治家かって、もんだったな。」
「そう、顔、会わせなかったけど、あたしも参列したよ。」
膝をもう一度、三角に建て直して、シオンは続ける。
「参列に来てる人が、皆、凄く泣いてた。沢山の人が 全員が 追うみたいに、泣いてた。」
ふと シオンは 気になって、レンを見た。 案の定、レンの眉毛が これ以上ない程、下がっている。
シオンは、レンの頭を 優しく 撫でる。
「大丈夫だよ。ルイも、あたしも今日、来たじゃない?きっと、これが一番、叔母さんを送ることになってるよ…。」
この言葉に レンが 、シオンの手に、猫の様に 頭を擦り寄せた。
シオンは もう一度ポスポスと撫でる。
「そんな、愁傷なやつじゃねぇよ。」
シオンの片方の肩に グッと 重みと、ルイの声を感じた。ルイが顎を乗せている。
シオンは、わざとらしい ため息をついて見せる。
「あの時は、分からなかったけど、お祖父様は、最後まで『三代目』だった。」
脈絡のない台詞だと、 シオンは思っているが、レンもルイも、分かってくれるとも、感じている。
何故なら、シオンの肩に 頭を乗せて、
「お祖父様は、養女の話、聞いてただろうね。」
と、空を見ながら、レンが言ったからだ。
こうして、シオン達三人が 夏休み、夕方の土手で、思い思いの話を 尻取りするように 楽しんだ。
噛み合ってるようで、自分の好きな話をする。バラバラで、バラバラでない。
シオンも、レンも、ルイも、思い思いの『心の内』を 抜いていく。自分でも気が付かず、偶に本心が覗くのだ。
「いつ会うか 分からない 血族の為に、お祝儀、持ち歩く、変なお祖父様だと思ってたよー。」
シオンの言葉に、ルイも シオンの肩に頭を乗せて、
「絶ってー反対だろーがってのも、オフクロから聞いてただろーよ。」
ダルマストーブの火を見ながら言ってきた。
シオンを 真ん中に、レンもルイも、シオンに寄り掛かっている。
「血で 結束を結んできた分、親愛が それこそ 血脈みたいに広くて、重ねた分だけ、深い、その当主だよ。」
シオンが 言うと、空気が 深夜になった事を知らせるように、ヒンヤリとしてくる。
「ケーキ職人してよーが、コックしてよーがでもか? やっぱ、勝てねーなぁ。」
片方の耳朶から、響くルイの声。
「金庫なんて、いつから用意してたんだって思うじゃない。策士だよ本当にー。」
そう、シオンが 呟くと、反対の耳朶から、レンの声が響いた。
「ルーツの旅は、どうして出たんだろうね。」
夜中、冷えてくる。雪山で眠くなるように、寒さで シオンは眠気の予感がしてきた。
「金庫を開けたら、叔母さんから聞いた話、思い出して、何か見える予感がしたんだよねー。」
ああ、頬にルイの髪が 撫でる。
「何んなんだろな、どーにかすりゃ、答え、出んのか?そのチートスキル使ってでもよ。」
きっと、レンもルイも、シオンが眠くなっているのに、気がついてるだろう。
「本当は あたし、旅行の終わりに、叔母さんとこへ、急だけど、会いに行く、予定、してた。」
一瞬、レンがこっちを伺った。レンの吐息が、シオンの耳に微風いだから。
「金庫の、中身、当主への『戒め』、でもあったんじゃないかな?。……シオン、お袋に会うつもりだったのか?」
急なシオンへの問いに合わせて、レンが シオンの肩から頭をはずす。それに、合わせてルイもシオンの肩から、起き上がった。
「叔母さんに、ゆくゆくは、お祖父様のお墓に、入らせてもらうかもって話でもしようかなーって。」
シオンが、レンの勢いに押されながらも 答えた。
レンは それを聞いて、複雑な顔をして、
「ほんと、会いに来てなくて、良かったよ。もし、来てたら 俺。」
全部を言わずに、口をつぐんだ。
ルイも強張った顔で、
「それこそ、何かあったかも とかいって、家ん中入ってたろうな。マジ、ヤバかっただろ。」
そこまで、言われてシオンも ようやく 言われている理由がわかる。確かにそうだ。
「ごめん、ほんと、こんなこと言うの、悪いけど、一歩間違えたらだった、、、」
今日 もう何度あったか、数えてない、沈黙がやってくる。
それを今度は、ルイが破った。
「なあ、さっきの 『本音尻取り』さ、あの後、『パンドラのって、箱か?ツボか?』ってー、言うつもりだったんだけどよ、結局どっちだったか、知ってっか?」
「「それ?!」」
レンと シオンの声が二重になった。
こんな 死して尚、孫の心内を、暴くのは、酷いんじゃないだろうか。
自然と、シオンの目が細まった。
シオンは 被る毛布の影から、隣に座るレンと、
ついた片手を枕に、寝転がっているルイを 見る。
お祖父様、無言に揶揄するのは、
やっぱり 意地悪でしょ?
子どもみたいに、レンとルイと シオンが 重なって また寝れたら、いいのにと、シオンは 思うが、
恐らく、叶わない事も 分かっている。
祖父は 初めから知っていたのでは ないだろうか?
なんでも見通してた 祖父には、シオン達の姿は、予定調和だったのか?
それも、聞く事は、できない。
ふと、まだ 停電しているのだろか。そう 考えを 冷ましながら 、シオンは 二人に切り出した。
「ねぇ、レン、ルイ、お祖父様のお葬式って、出てた?」
シオンは、静かに問う。
祖父の葬儀は、あの最後の夏の日から 間もなくだった。
シオンの母は、相変わらず 叔母に怒りを 拗らせたままで、祖父の葬儀は、何とか シオンも 参列は出来たが、時間は僅かしか許されなかった。
何より 葬儀当日、祖父の弔問客があまりに多過ぎた。
式場は もとより、弔問の列は、野外に長蛇の列を作り、弔問客の波で、シオンは レンやルイの姿を、見ることが出来なかったのだ。
「凄かった。あれは、尋常じゃない。」
一度シオンの目を見て、レンは 記憶を巡らせるような 顔をする。
それは ルイも同様で、思い出すように、拳を額に当てた。
「どこかの、政治家かって、もんだったな。」
「そう、顔、会わせなかったけど、あたしも参列したよ。」
膝をもう一度、三角に建て直して、シオンは続ける。
「参列に来てる人が、皆、凄く泣いてた。沢山の人が 全員が 追うみたいに、泣いてた。」
ふと シオンは 気になって、レンを見た。 案の定、レンの眉毛が これ以上ない程、下がっている。
シオンは、レンの頭を 優しく 撫でる。
「大丈夫だよ。ルイも、あたしも今日、来たじゃない?きっと、これが一番、叔母さんを送ることになってるよ…。」
この言葉に レンが 、シオンの手に、猫の様に 頭を擦り寄せた。
シオンは もう一度ポスポスと撫でる。
「そんな、愁傷なやつじゃねぇよ。」
シオンの片方の肩に グッと 重みと、ルイの声を感じた。ルイが顎を乗せている。
シオンは、わざとらしい ため息をついて見せる。
「あの時は、分からなかったけど、お祖父様は、最後まで『三代目』だった。」
脈絡のない台詞だと、 シオンは思っているが、レンもルイも、分かってくれるとも、感じている。
何故なら、シオンの肩に 頭を乗せて、
「お祖父様は、養女の話、聞いてただろうね。」
と、空を見ながら、レンが言ったからだ。
こうして、シオン達三人が 夏休み、夕方の土手で、思い思いの話を 尻取りするように 楽しんだ。
噛み合ってるようで、自分の好きな話をする。バラバラで、バラバラでない。
シオンも、レンも、ルイも、思い思いの『心の内』を 抜いていく。自分でも気が付かず、偶に本心が覗くのだ。
「いつ会うか 分からない 血族の為に、お祝儀、持ち歩く、変なお祖父様だと思ってたよー。」
シオンの言葉に、ルイも シオンの肩に頭を乗せて、
「絶ってー反対だろーがってのも、オフクロから聞いてただろーよ。」
ダルマストーブの火を見ながら言ってきた。
シオンを 真ん中に、レンもルイも、シオンに寄り掛かっている。
「血で 結束を結んできた分、親愛が それこそ 血脈みたいに広くて、重ねた分だけ、深い、その当主だよ。」
シオンが 言うと、空気が 深夜になった事を知らせるように、ヒンヤリとしてくる。
「ケーキ職人してよーが、コックしてよーがでもか? やっぱ、勝てねーなぁ。」
片方の耳朶から、響くルイの声。
「金庫なんて、いつから用意してたんだって思うじゃない。策士だよ本当にー。」
そう、シオンが 呟くと、反対の耳朶から、レンの声が響いた。
「ルーツの旅は、どうして出たんだろうね。」
夜中、冷えてくる。雪山で眠くなるように、寒さで シオンは眠気の予感がしてきた。
「金庫を開けたら、叔母さんから聞いた話、思い出して、何か見える予感がしたんだよねー。」
ああ、頬にルイの髪が 撫でる。
「何んなんだろな、どーにかすりゃ、答え、出んのか?そのチートスキル使ってでもよ。」
きっと、レンもルイも、シオンが眠くなっているのに、気がついてるだろう。
「本当は あたし、旅行の終わりに、叔母さんとこへ、急だけど、会いに行く、予定、してた。」
一瞬、レンがこっちを伺った。レンの吐息が、シオンの耳に微風いだから。
「金庫の、中身、当主への『戒め』、でもあったんじゃないかな?。……シオン、お袋に会うつもりだったのか?」
急なシオンへの問いに合わせて、レンが シオンの肩から頭をはずす。それに、合わせてルイもシオンの肩から、起き上がった。
「叔母さんに、ゆくゆくは、お祖父様のお墓に、入らせてもらうかもって話でもしようかなーって。」
シオンが、レンの勢いに押されながらも 答えた。
レンは それを聞いて、複雑な顔をして、
「ほんと、会いに来てなくて、良かったよ。もし、来てたら 俺。」
全部を言わずに、口をつぐんだ。
ルイも強張った顔で、
「それこそ、何かあったかも とかいって、家ん中入ってたろうな。マジ、ヤバかっただろ。」
そこまで、言われてシオンも ようやく 言われている理由がわかる。確かにそうだ。
「ごめん、ほんと、こんなこと言うの、悪いけど、一歩間違えたらだった、、、」
今日 もう何度あったか、数えてない、沈黙がやってくる。
それを今度は、ルイが破った。
「なあ、さっきの 『本音尻取り』さ、あの後、『パンドラのって、箱か?ツボか?』ってー、言うつもりだったんだけどよ、結局どっちだったか、知ってっか?」
「「それ?!」」
レンと シオンの声が二重になった。