「おまえなあ。いいから、どーゆー感じか、話しろ!」

「そうだね。シオン。旅行の事、話てくれる?」

立て続けに、レンとルイが 聞く姿に シオンは、

「あっ、はっはっはっ!!はっ、あー。おかしい〰️。何〰️はっ!ほっんと、おかし〰️!!」

場所に お構い無しで、大笑いしてしまった。大袈裟なほど。自嘲気味なまでに。
そうなのだ、
久しぶりに再会した二人が、あんまりにも、子どもの頃と変わらなさすぎる。
そして もう、シオン自身も、変わっていなかったと、解った。
そう自覚すると、なんだか 無性に可笑しかった。

「あー、もう。ほんと、昔と変わらないなー。降参、降参ー。涙でるわー」

両手を、顔の横でヒラヒラさせた後、シオンは 食べ終えた通夜振舞いの皿を、式場の小さい流しへ 片付ける。

話をする為に、ダイニングテーブルのモノを 先に、直すことにしたのだ。

その間に、ルイが三人分のコーヒーを淹れてくれた。
再び、三人が ダイニングテーブルを囲んで座ったところで、シオンは レンとルイに向かう。そして、

「今日は、叔母さんのお通夜も終わって、寝ずの番だもんね。だから 時間は、たくさんあるし、この1週間、一人旅したことを 二人に話すよ。だってさ、この旅行にまつわる話は全部、叔母さんから教えてもらった事なんだから。」

と、今度は 白雪姫のような棺を、フィッと 見てから、シオンは どこともなく 言った。

「寝ずの番の夜話 として、申し分ないよね? どう?叔母さん?」

すると、ルイが

「おまっ?!冗談でも、そんな感じ、やめろ?!」

と、すかさず、声を出した。
意外に、ルイは 怖がりなのを もちろんシオンは知っているのだ。

「はい、はい。ごめん、ごめん。まあ そうは言っても、始まりは、 うちのママなのよ。」

そう ルイをいなして、シオンは 旅のきっかけから、レンとルイに しゃべり出した。

「実家に帰った時に 見た、旅番組が 滋賀特集だったんだ。そこで紹介されてたのが 和菓子でね。それを見て ママが、死ぬまでに もう一度食べたい お饅頭があるって、言い始めたんだよー。」

「和菓子?」

レンが、コーヒーを飲みながら 楽しそうに 聞いてくる。あの夏の日記帳をシオンは 思いつつ、

「そう、お祖父様が 氏子頭をしていた神社の前にある和菓子屋さんに、お祖父様が 作らせていた、お饅頭が あったんだって!」
と、続ける。

「氏子頭? 初耳だな、どこの神社だ?そりゃ?」

そう言ったルイに、シオンは ぴっと、指を立てて、

「やっぱりー。二人とも 全く知らないんだ。あたしね、もしかしたら、今日のお通夜とかも、神式なんじゃないかって、ほんとは、来るまでは思ってたんだよー。」

そう言った シオンを見て、
レンが 目を大きくして 驚いていた。