「ルイ、、くん。ーーやー、がっしり、育ったーよねー、、」

ルイの姿を 上から下へと舐め見 つつ、シオンは とりあえず 言ってみた。そんなシオンに 容赦なく

「相変わらずの タコだな、おまえは。気色割りーから、呼び捨てにしろ。」
と、ルイは ぐしゃっと 頭を片手で掻きながら 舌打ちと一緒に言い投げつける。

「あのさ、そーゆー感じって、モラハラなんじゃない。」

「モラハラ? おまえは、従業員か! あれだな、嫁か?彼女かっつーの!」

長く会ってない 時間なんか、全くもって この男には関係ないなと、 苦情しながら、シオンは、
「従弟妹でも モラハラでしょうよ。ちょっとレン、ごめん 失礼しまーす。」

レンと税理士さんとやらが 入ったドアをノックしに行く。
同時に、式場の自動ドアが開いて、

「お待たせして すいません!!供養花 お持ちしました。本当に、遅くなりまして ご迷惑かけます!!」

ドドッと、前掛けをした 花業者らしき人が 入ってきた。かなり焦っているのは、花の生け込みが 間に合うかどうかなのだろうか?

丁度、式場と事務所とのドアに来た レンが、シオンに視線をよこして すぐ後ろを振り替える。

「すいません、どうやら お花が今、届いたみたいですよ。」
そうして、事務所のスタッフに レンは呼び掛けて、シオンに詫びる。

「ごめんね、シオン。打ち合わせ長くなったな。」

事務所スタッフが急いで、駆け寄ってきたのを、レンは 手のひらで 花業者を示しながら シオンの所へ出てくる。

「ちがう、ルイ、来てる!!」
そう シオンはレンに懇願したが、
すでに、レンは シオンの後ろに立つ ルイの姿をみつけたのだろう。
一瞬 息を飲んだのが 分かった。

「写真、あったんだな。」

ルイは、再び、ポケットに両手をつっこんで、顎で 祭壇用の写真をレンに示した。

女性スタッフが、花業者に テキパキとカタログを見せながら、指示をしている。何人かで、葬儀花の飾り付けをするのに、花と人が入り乱れ始めた中で、レンが 囁いたのを シオンは見上げた彼の 喉仏が動いたことで感じた。

「2つ、 キセキか。」

それも、すぐに 掻き消え。で、レンは、シオンが聞いたことを 解っていて。
ルイが、花と人の川を渡って こちら側に歩みよって 言うのだ。

「今日、喪服じゃねーの?」