入籍した翔馬は、菜々子が思わず驚いた行動を取った。
あれだけ集めていたアニメのグッズを、ほとんど売り払ってしまったのである。
「せめて少しは残したほうが…」
「俺には菜々子がいる。もうこの子たちは、うちにいるべきではない」
そう言うと惜し気もなく専門の業者を呼んで査定を頼んで、そのほとんどを手放してしまった。
「かなりレア物がありますけど、どこで手に入れたんですか?」
などと業者に訊かれる始末で、
「仕事が営業なんで、まぁコネですかね」
とだけ、はぐらかしておいた。
そこそこのまとまった金額になったので、
「これで指輪を買う」
二人は安い指輪しかしていなかったのだが、
「私は指輪なんかより、翔馬さんと一緒にいられたら何にもいらないよ」
結局何を買うかは決まらなかったので、とりあえず万が一に備える預金に回ることになった。