送別会とはいうものの、やはりそこは県内でも指折りの企業で、桜木町のホテルの広間を借り切ってのパーティー、しかも取り引き先からも何人か来賓が来ている。

 とりわけ。

 目立ったのは不動産管理会社の令嬢と、そのフィアンセで陶芸家の美男美女のカップルで、令嬢は光の先輩でもある。

「セレブってすげぇなぁ」

 翔馬にしてみれば見たこともないような世界で、かつて海士部組に就職が決まった際、

 ──これで孫の代まで自慢できる。

 などと言われたりもした、その理由の一端が分かったような気がした。