翔馬と付き合い始めた菜々子は、コンパニオンの仕事を辞めた。

 六角橋のマンションも引き払った。

 翔馬の部屋へ移り住むと、近所のスーパーのパートを見つけて働き始め、

「あ、翔馬さんお帰り」

 翔馬も早く帰るようになった。

「あれ? 辻さんは?」

 光は営業部に翔馬の姿がないのを訝ったが、

「今日は茅ヶ崎から直帰だそうです」

「そう…」

 光は翔馬が遠くなってゆくようで、何となく一抹の寂しさを感じたらしい。