三時近くなって、タクシーを飛ばして菜々子が川崎新町まで来た。 「…まだ希ちゃんからは?」 翔馬は首を横に振る。 雨は強い。 「…やっぱり行ってみる」 「せめて朝まで待ってみないと…」 「さとみのときには、それで手遅れになった」 情の強(こわ)い言い回しを翔馬はしてから、 「今からならまだ間に合う」 「…私もついてく」 「綱島はここに残っとけ」 「でも…」 「このまま何か遭ってからでは、悔やんでも悔やみきれない」 また何年も悔やむのはまっぴらだ、と翔馬は言う。