そうして一年ほどが過ぎた。

 光は総務部から、どういう訳かエンジニアリング部への異動となった。

「わたくし、何にも機械なんか触れませんことよ」

 などと光は総務部から離れる事を拒んだらしいが、

「日本の会社ではそんなワガママは許されない」

 という社長でもある父の(ゆたか)の断もあって異動が決まったのであった。

 総務部では形ばかりながら、送別会を開いた。

「どうせみんな、私が異動でいなくなる事を喜んでるんでしょ?」

 光は半分見下したような言い方ではあったが、数少ない仲間でもある翔馬の説得もあって、取り敢えず顔だけは出す結論に決めたらしかった。

 光と翔馬のユニットは、

 「女帝と下僕」

 と陰で囁かれるほどのコンビとして周りでは見られている。