三人で小さなテーブルで夕餉を囲んで、帰り支度をする頃には再び雨が降り始めていた。

「菜々子さん六角橋でしょ? 私、送ってく」

「何か悪いって…」

 いつも助手席に翔馬乗せてるから大丈夫──希は軽く笑ってから、

「それに、菜々子さんからいろいろ翔馬のことで聞き出したいこともあるしさ」

 不敵な笑みを浮かべ、菜々子を助手席へ乗せた。

「雨だから、事故だけは気をつけろよ」

「パパラッチに遭わない限り大丈夫だと思う」

 そういうと雨の中、希の軽自動車は川崎の街の中へと消えていった。