行為が果てたあと、仕事のある翔馬は希に合鍵を渡し、
「帰るときは鍵だけよろしく」
絶頂に達して少しぐったり気味の希の髪を撫でて、翔馬はスーツに着替えると出勤した。
しばらく眠っていた希は、昼近くなってから起き出すと服を着てキッチンに立ち、冷蔵庫の余り物で簡単な食事をさくさくと作って、
「チンして食べてね」
再びベッドで横になった。
夕方、早めに翔馬が帰って来ると、
「おかえり」
希は翔馬に抱きついた。
が。
気づくと後ろに、菜々子がたたずんでいる。
「大学の後輩で、俺がいちばん信頼する友達の綱島菜々子。一緒になるなら紹介しとこうって思って」
菜々子はお辞儀をした。