希ははっきり決めてあったらしく、

「明日検査受けて、ハッキリしたら事務所に話して、それでカレッジアイドルは辞める」

「希…いいのか?」

「なんで?」

「こんな普通のサラリーマンなんかでさ」

「私が決めたんだもん」

「それならいいんだ」

 翔馬は優しく、希をふんわりと抱き止めてから、

「…かわいい声、してるのな」

「いまさら、もう」

 希は翔馬の首筋にキスの跡をつけた。

「これで私のものだからね」

 明かりを消すと、二人の影だけが蠢き出した。