夜来の雨が止んだ日曜日の朝、翔馬はアパートの駐輪場にカバーをかけて停めてあったCD125というクラシカルなバイクを久しぶりに出して、エンジンをかけてみた。

 何度かキックペダルを踏み下ろしたらすぐにかかったので、簡単な身支度を整えて、川崎大師まで軽く転がしてみたのだが、

「…懐かしいなあ」

 光が入社する前ぐらいまでは頻繁に乗っていたが、このところはバタバタしていて乗っていなかったので、少しバッテリーに難はあったが、遠乗りを駆ければ何とかなりそうではある。

「たまには一人も悪くないか」

 一旦戻ってから、翔馬は手袋だのブルゾンだの出して着てみた。

「…よし、行くか」

 翔馬はスロットルを開いた。