翔馬のアパートは少し古い。
川崎新町の駅からそばの、二階にある翔馬の部屋は東向きで、小さな天窓と出窓がある。
「あら、綺麗にしてあるじゃない」
光は男の一人暮らしの部屋は初めてらしい。
「実家の弟の部屋は知ってるけど、まぁ乱雑で」
光に弟がいることを初めて知った。
「まぁ弟はわたくしがいなければ、何も出来ないのですけど」
ロフトへつながる梯子を光は登った。
寝起きはロフトにマットと布団を敷いてあるだけで、机にはアニメ関連のグッズが並んでいる。
「これは…あなたはバイヤーですか?」
光が間違えたのも無理はない。
保存用のグッズを別にしまってあるからであった。
「お嬢さまってマジで世間知らずというか、浮き世離れしているというか…」
よくアニメでは見るけど、と翔馬は苦笑いを浮かべるより他なかった。