そこへ再び、光があらわれた。
「どなたかとお話?」
「大学の後輩で、今仕事転職するかどうかで互いにいろいろ話していて」
光は転職、というワードに食いついた。
「それはどういうこと?!」
「だって、ライバル企業のお嬢さまとキスとか寝たりとかしてる間柄ですからね、だったらこっちだって覚悟をしなきゃならない」
次々と威力のある単語を出した。
「…それは」
「だから、こちらから辞めるつもりでいます」
そのほうが光お嬢さまに累が及ばないでしょうから、と翔馬は殻を割ったような言い方をした。
「それでは昼休み終わるんで」
光を置き去りにすると、そのまま翔馬は屋上を降りて行った。