昼前に本社へ出勤すると、
「申し訳ございませんでした」
翔馬は上司に不手際を詫びた。
昨日かなり酷使されていた翔馬を見ていたからか、
「まぁ昨日あれだけこき使われてたら、財布ぐらいなくしても分からないよな…」
上司からは叱責も少なかった。
ひとまず安堵していると、昼休みに社員食堂で光に出くわした。
「ちょっと辻さん、あなた昨夜はどこへいらしてましたこと?」
険の強い言い方である。
「実は」
嘘をついても仕方がないので、有り体に記憶がないことを話した。
「まったく…前後不覚になるぐらい飲むなんて、あなたにはどなたか彼女がついていないと宜しくないようですわね」
そんなラブライブサンシャインの黒澤ダイヤみたいなキツい口調で言わなくたって…と喉から出かかったが、
「…すみません光お嬢さま」
翔馬は鄭重を装い、頭を下げた。