宮崎(みやざき)希。

 およそ聞いたことのない名前である。

 翔馬はとにかく、

「希さん、ごめんなさい…まったく記憶がなくて」

 謝るしかない、と土下座をした。

「…覚えてなんかないだろうなって、予測はしてたよ」

 希はお見通しだったらしい。

「でも身体の相性がいいのは昨日分かったから、今度デートしてくれる?」

 承諾しないことには帰れない、と思ったのか、

「もちろん」

 翔馬は二つ返事をした。

「…ありがと」

 希は翔馬の頬にキスをしてから、

「今日は送ってあげるね」

 身支度をし、この日は希の車で本社ビルのある桜木町まで送ってもらった。