「今夜一晩付き合ったら……わかってるね?」
耳元で囁かれた言葉に、私はなけなしの勇気を総動員して頷いた。
「後悔は残したくないの」
だからやる。絶対にやる。ばっちこい。
と思うどころかうっかりこぼした私に、彼は苦笑した。
どの角度から見ても完璧な造形を誇る超絶イケメン。それを相手と甘い一夜を過ごせるなんて、私は何てついているのだろう。
いや、むしろついていないのか。ついていないからこんな事になったのか。
「でも本当に出来るの? 私その……」
「処女か?」
「いや、それよりもっと別の問題がさ」
「安心しろ、俺はプロだ」
頼もしいような恐ろしいような言葉をはいて、彼は私の体を抱き寄せた。
そうする仕草も表情も、胸焼けしそうなほど甘い。
対する私はと言えば、まだ服を脱いでもいないのに彼の一挙一動に困惑し、馬鹿みたいに広い彼のベッドに横たえられた時も冷凍マグロ以上にカッチコチだった。
一体誰が買うのかと笑っていた海沿いに立つ高層マンションの最上階。その寝室にいるのだと今更のように自覚し始めたとき、彼は私の前でスーツの上着とシャツを脱ぐ。
「うわ……」
と息をのんでしまったのは、完璧な造形は顔だけでなく肉体にも及んでいると気付いたからだ。
露わになった彼の腹部は、あまりに完璧すぎる起伏を有しており、正直見ただけでめまいがした。
「完璧な肉体って、リアルに存在するのね……」
「は?」
「いや、その、人間ってそんなに綺麗に筋肉がつくんだなぁと」
「鍛えてるから」
そう言って、彼は獣を思わせるしなやかな動きで、ベッドの上の私に迫り来る。
なんかもう、緊張しすぎて死にそう。
またしてもうっかり思いを口にすれば、完璧超人は呆れたように私の額をこづく。
「死にそうも何も、君はもう死んでるじゃないか」
だから力抜け。入る物も入らなくなる。
そんな身も蓋もない台詞で現実を思い出したくなかったが、残念ながら夢のようなこれは夢ではないのだった。
耳元で囁かれた言葉に、私はなけなしの勇気を総動員して頷いた。
「後悔は残したくないの」
だからやる。絶対にやる。ばっちこい。
と思うどころかうっかりこぼした私に、彼は苦笑した。
どの角度から見ても完璧な造形を誇る超絶イケメン。それを相手と甘い一夜を過ごせるなんて、私は何てついているのだろう。
いや、むしろついていないのか。ついていないからこんな事になったのか。
「でも本当に出来るの? 私その……」
「処女か?」
「いや、それよりもっと別の問題がさ」
「安心しろ、俺はプロだ」
頼もしいような恐ろしいような言葉をはいて、彼は私の体を抱き寄せた。
そうする仕草も表情も、胸焼けしそうなほど甘い。
対する私はと言えば、まだ服を脱いでもいないのに彼の一挙一動に困惑し、馬鹿みたいに広い彼のベッドに横たえられた時も冷凍マグロ以上にカッチコチだった。
一体誰が買うのかと笑っていた海沿いに立つ高層マンションの最上階。その寝室にいるのだと今更のように自覚し始めたとき、彼は私の前でスーツの上着とシャツを脱ぐ。
「うわ……」
と息をのんでしまったのは、完璧な造形は顔だけでなく肉体にも及んでいると気付いたからだ。
露わになった彼の腹部は、あまりに完璧すぎる起伏を有しており、正直見ただけでめまいがした。
「完璧な肉体って、リアルに存在するのね……」
「は?」
「いや、その、人間ってそんなに綺麗に筋肉がつくんだなぁと」
「鍛えてるから」
そう言って、彼は獣を思わせるしなやかな動きで、ベッドの上の私に迫り来る。
なんかもう、緊張しすぎて死にそう。
またしてもうっかり思いを口にすれば、完璧超人は呆れたように私の額をこづく。
「死にそうも何も、君はもう死んでるじゃないか」
だから力抜け。入る物も入らなくなる。
そんな身も蓋もない台詞で現実を思い出したくなかったが、残念ながら夢のようなこれは夢ではないのだった。