2学期の中間は、あいつはやってくれた! 満点を叩き出したのだ!
 僕は用心して5点差をつけたが、それまでにないハイスコアを出しても負けた僕に、周囲の同情が痛いくらいに集中し、貫くような快感がこみ上げて、身体が震えるところだった。
 俯いてその場を去り、トイレに駆け込んで鏡を見ると、かわいそうな自分の立場と視線に興奮したせいで、赤い頬と潤んだ目の酔ったような表情が映しだされている。まじでやばいと思った時、鏡越しにぴたりと視線が合ったのは奴だった。

 驚愕で色を失った僕を見て、渡来は片眉を上げてふ~んと面白そうに鼻をならした。
 その瞬間、僕は奴の性癖を感じ取った。こいつはドSだ。間違いない!
 次回も完全に僕を叩きつぶして、喜ぶかもしれないが、それは僕にとっても願ってもないことだ。今度の期末は本気でぶつかってやる!
 そして、破れて、本物の惨めさを味わうんだ! 鏡の中の僕は、近い未来を思い描いて、うっとりとほほ笑んだ。