市野瀬くん。
私もどうやら君のことが……好き……みたい……。
「……好き……」
自分の想いを伝えるのは、ものすごく恥ずかしいけど……。
「私も……市野瀬くんのことが……好き……です……」
私は恥ずかし過ぎて市野瀬くんの顔を見ることができなかった。
「……本当……か……?」
え……?
市野瀬くん、なんで疑うの?
「本当だよ‼ そんなこと噓を言ってどうするの‼」
私は市野瀬くんの顔を見てそう言った。
「…………」
市野瀬くん……?
市野瀬くんは無言になった。
市野瀬くんが無言になったから、私はどうしたらいいのか困ってしまった。
そう思っていると……。
……‼
市野瀬くん……。
市野瀬くんが無言で私の手を繋いだ。
そして……。
「……行くぞ、杏樹」
市野瀬くんは、そう言って私の手を繋いだままゆっくりと歩き出した。
……‼
今……。
今、市野瀬くん、私のこと『杏樹』って……。
私は嬉しくなって繋いでいる手をもっとぎゅっと繋ぎ返した。
「行くって、どこに行くの? 大翔くん」
『大翔くん』
そう呼ぶのは初めてだし、たぶんしばらくは慣れなくて恥ずかしいと思う。
私が『大翔くん』って呼んだとき、大翔くんが少し反応したように見えた。
そして大翔くんは少し照れくさそうに、
「カフェとかでいいだろ」
ぶっきらぼうに言った大翔くん。
「うん」
私は笑顔でそう返事をした。
ぶっきらぼうな大翔くん。
少し不器用なところがある大翔くん。
照れ屋な大翔くん。
照れ屋だから、本当は純粋で素直で優しいのに、それをなかなか表に出すことができない大翔くん。
どんな大翔くんも本当の大翔くん。
どんな大翔くんも私にとって最高の大翔くん。
……大好き。
大好きだよ、大翔くん。
これからもずっとずっと大翔くんと一緒にいたい。
私は、そう願いながら、大翔くんと一緒に歩き出した。
*end*
この度は、『君の秘密』を読んでいただき、ありがとうございます。
今回は、杏樹と強がりだけど実は少女マンガ好きの大翔との物語を書かせていただきました。
私は、大翔のキャラを書いているとき、だんだんと大翔に愛着を感じてきました。
強がりなのに、実は少女マンガ好きというのが、なんか可愛らしくて。
あと大翔に愛着を感じるのは、少女マンガ好きだからというだけではなく、実は純粋で素直で優しいところもあるとか、不器用なところがあるとか、なんかそういうところが良いなと感じました。
杏樹と両想いになったところを書いたときには、大翔、杏樹と両想いになって良かったねという気持ちになってきました。
そう思うと、私は、今回の作品を書いているときに、結構、大翔に情が移りながら書いているなと思いました。
そして、そんな杏樹と大翔の姿をみなさんに読んでいただけたことをとても嬉しく思います。
それでは、最後まで読んでいただきまして、本当にありがとうございました。
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