聞き間違いならいいと思った。
でも……。
市野瀬くんの様子を見ていると、聞き間違いではなさそうだった。
私はあまりにもショック過ぎて声が出なかった。
「今日、お前と会ったのも、それを伝えるために……」
「…………」
なんで……。
「佐伯?」
そんなに私のことが嫌い?
「おい‼」
嫌……そんなの嫌……‼
「……そんなに……」
私はショックな気持ちを必死にこらえて声を出した。
「……嫌……?」
辛い……。
「……私と友達でいることが……」
辛すぎるよ、市野瀬くん……‼
「ああ」
「……‼」
市野瀬くんの『ああ』というとても短く素っ気ない言葉を聞いて、その言葉以上の強いショックが私の身体中に降り注いだ。
「……なんで……」
ショックでボロボロになりそうな気持ちを抑えて私はそう続けた。
「『なんで』って、嫌なものは嫌なんだよ」
淡々と言う、市野瀬くん。
「……酷い……」
「え……?」
「酷いよ‼ 市野瀬くん‼ いくら私のことが嫌いだからって‼」
私は泣きそうになる気持を必死に抑えた。
「はぁ⁉」
……⁉