「そんな堅苦しい挨拶はいいから、お姉ちゃんも杏樹ちゃんも座って」


 香織さんが笑顔でそう言った。


「じゃあ、そうさせてもらおうかな」


 架純さんは笑顔でそう言って、香織さんと来未さんの方に座った。


 架純さんが座った後、香織さんは市野瀬くんの方を見た。


「ほら、大翔、架純お姉ちゃんよ。何か声をかけたら?」


 香織さんが市野瀬くんにそう言った。


 市野瀬くんはまだ下を向いたままだった。


 そんな市野瀬くんのことをやさしい笑顔で見つめている、架純さん。


「大翔、元気だった?」


 市野瀬くんにやさしく訊く、架純さん。


「……うん……」


 下を向きながらそう答える、市野瀬くん。


 そんな市野瀬くんのことを架純さんはやさしく見つめていた。


 照れるのを必死に隠しながら下を向いたまま架純さんに返事をした市野瀬くんのことを見ていた香織さんと来未さんは顔を見合わせてクスッと笑っていた。


「さて、架純お姉ちゃんも来て全員そろったことだし、メニュー見よ」


 来未さんがそう言ってメニューを広げてみんなに見せた。