私が市野瀬くんのことを見ている間に、架純さんが私たちの席の前に着いた。
「お姉ちゃん、可愛い子供たちは大丈夫?」
香織さんが架純さんに訊いた。
「うん、旦那と一緒にお留守番してる」
笑顔の架純さん。
架純さんにはお子さんがいるんだ。
お母さんが架純さんだから、お子さんたちはきっと可愛いんだろうな。
「あっ、お姉ちゃん、さっきスマホにメッセージを送った通り、この子が佐伯杏樹ちゃん。大翔と同じクラスなんだって」
私が架純さんに挨拶をする前に、先に香織さんが架純さんに私のことを紹介してくれた。
私は椅子から立ち上がって架純さんの方を見た。
「佐伯杏樹と申します。せっかくのご姉弟水入らずのところ、突然おじゃましてすみません」
私は架純さんにそう言ってお辞儀をした。
「大翔の姉の架純です。大翔がいつもお世話になってます」
とても上品な話し方の架純さん。
そして、とても素敵な笑顔。
「こちらこそ大翔くんには大変お世話になっております」
私は架純さんにペコリとお辞儀をした。