「なんでよ、別に話したって減るもんじゃないでしょ。大翔にとって初恋のようなものだから架純お姉ちゃんは。って言うことは」


「あぁぁ~っ‼」


 市野瀬くんは、さっきよりも大きいくらいの声で叫んだ。


 店内にいるお客さんたちや店員さんたちが驚いて、また私たちの方を見た。


「ちょっと、大翔、いい加減にしなさい。さっきよりも大声じゃないの」


 香織さんはそう言って、また来未さんと一緒に店内にいるお客さんたちや店員さんたちに頭を下げた。


「だって香織が悪いんだろ、余計なことをいうから」


 市野瀬くんは、またブツブツと言った。


「だって本当のことでしょ。あんたにとって架純お姉ちゃんは初恋のようなものだって」


 香織さんは言った。


「そうそう。大翔は架純お姉ちゃんが結婚する前、架純お姉ちゃんにベタ惚れだったもんね。それで架純お姉ちゃんが結婚することが決まったとき、大翔ったら大ショック起こしちゃって」


 香織さんに続いて来未さんが言った。