あっ、そうだ、私も挨拶をしなくては。
「私は佐伯杏樹と申します。大翔くんとは同級生で同じクラスです。よろしくお願いします」
「杏樹ちゃん、可愛いわね。大翔、よかったじゃない、こんなにも可愛らしい子が同じクラスで」
私は、そう言ってくれた香織さんと来未さんに「そんなことないです」と言った。
香織さんと来未さんは、そう言った私に「謙遜して控えめな子ね」と笑顔で言った。
私と香織さんと来未さんの会話のやりとりを聞いていた市野瀬くんは「フン‼」と言っていた。
「あっ、そうだ、大翔、さっきのは何なのよ? 大翔が今、持っている少女マンガは私たちの物って言ってたわよね」
「お……おい‼ 余計なことを言うなよ‼」
市野瀬くんが慌てて香織さんと来未さんにそう言った。
私は、なにがなんだかわからなかった。
頭の中で、はてなマークが浮かんでいる私に、香織さんと来未さんはニヤリとしながら話し出した。
「あの少女マンガの本当の持ち主はね」
「おい‼ やめろよ‼」
香織さんと来未さんが言うのを必死に止めようとする市野瀬くん。