ヘタレな俺はウブなアラサー美女を落としたい


 絹さんが俺のことを考えながら作ってくれた一杯。それだけで、スクリュードライバーは俺にとって特別な酒になった。
 クセのないウォッカと、甘酸っぱいオレンジジュース。自分でも作れるようになりたい。

 調べてみれば、スクリュードライバーに限っては特別な道具も必要なく、材料もすぐ手に入る。〝よしよし〟と満足していると、ふと同じページの中で〝酒言葉〟という字が目に入った。

 スクロールする指を止める。


(……酒言葉か)


 花言葉みたいに、カクテルにもそれぞれあるものなのか。それは面白いな。
 スクリュードライバーの酒言葉はなんだろう。

 軽い気持ちで画面をスクロールする。

 そして俺は、硬直した。


「……〝あなたに心を奪われた〟」


 読み上げてから、しばらく恥ずかしくなってしまった。

 まさか絹さんがそんなメッセージを込めて俺にスクリュードライバーを作ってくれたとは、もちろん、一ミリも思っていない。そんな恥ずかしい勘違いはしていない。ここまでの俺に絹さんの心を奪える要素はどこにもなかった。