今度は絹さんの手をひっくり返して、手のひらを上に向けて見た。やっぱりだ。カクテルを作っているときには気にならなかったけど、こうしてまじまじと見ると彼女の手は少し荒れている。
「これ、痛いでしょ」
手を掴んだままそう尋ねると、絹さんは更に弱った顔になる。
「あー……そうね。もともと肌が強いほうじゃなくて」
「やっぱり水仕事が多い?」
「うん。あとアレかな。仕入れで段ボールをよく触るから、手の水分奪われて乾燥しちゃって」
ここまで絹さんの反応はずっと自然だった。俺に手を掴まれていてもドギマギした様子は一切なく、会話も淀みない。手荒れがバレてちょっとバツが悪い、程度の反応だ。
対して俺のほうはといえば、自分から掴んだくせに、なんだか手に変な汗をかいてきた。
(なんでだよ)
その差が無性に悔しくて、ふつふつと闘志が燃えてくる。
絶対に絹さんをドキドキさせてやる。なにがなんでも。
他の客からはふたりの手元が死角になっているのをいいことに、躍起になった俺は掴んでいた彼女の手をぎゅっと握った。
「えっ?」
