優雅に泳いでいた白鳥が水面下で頑張っていたことを暴いてしまった気まずさ。それから申し訳なさ。余計なことを言ってしまった、と怯みそうになったが……違う! これをチャンスに変えるんだ!
優雅に泳いでいた白鳥が水面下で頑張っていたことに気付けたなら、それを肯定して褒めればいい。〝俺はわかってるよ〟って認めてもらうの、みんな好きだろ。
ここは焦らずに、なんとか俺のペースに持ち込みたいところ。
「……絹さん、ちょっと手ぇ貸して」
「手?」
「うん」
彼女は不思議そうにしながら布巾とグラスをそばに置き、片方の手はカウンターテーブルの上に添え、もう片方の手をこちらに差し伸べてきた。
俺はその手を片手で掴む。ほっそりとした女性らしい手。綺麗に切り揃えられた爪。この繊細な指先が色とりどりのカクテルを作っているんだと思うと、純粋に〝すげぇな〟と思う。
「……馬締くん?」
あ、違った。普通に感心してしまったけど、今の目的はそうじゃない。
