ヘタレな俺はウブなアラサー美女を落としたい



 だけど火が点いた男子大学生の行動力を舐めてはいけない。
 そう簡単に諦められるものなら、そもそもここには来ていない。

 それくらい衝撃的なことだったんだ、俺にとっては。
 今朝の絹さんとの出会いは、今までの夜遊びが(かす)むほど、特別だったから。


(どう攻めるかな……)


 ただ店に通って酒を飲んで、当たり障りのない会話をしているだけじゃ、絹さんは俺を好きにはならない。

 もっとはっきり、わかりやすく、ストレートに好意を示そう。
〝お持ち帰り〟とかそんな冗談めいた言葉に逃げずに。

 なんならバラでも贈っちゃうか!
 花束だと重たい感じになるけど、本数が少なければカジュアルに伝えられるだろう。バラは本数によっても意味が変わるし。

 これまでの経験で言うなら、小さなブーケで大抵の女の子は喜んでくれた。


(いや……ううん……)


 ……他の女子に使ったような手はナシだな。なんとなく。

 それにバラなんてもちろん今手元にないし、できれば日を改めずに今夜もう少し攻め込みたい。何かないか? もっとこう……自然な話のきっかけとか。

 しばらくカウンターの中の絹さんを観察していた俺は、あることに気付く。

 さっきからずっと気になっていたのだ。店の中を見回しても他に店員の姿がない。客の案内にはじまり酒作り、フード作り、洗い物、会計までを、絹さんが全部ひとりでこなしている。

 ――これだ。