俺はちびちびとスクリュードライバーを飲んだ。
(……うま)
甘みと苦みが混在しているせいか、飲んでいて飽きがこない。
絹さんはすぐ別の客に呼ばれてカウンターの外へと出ていく。凛とした立ち姿。注文を取っているだけなのに、それだけの動作すら、彼女がやると特別なことのように思えた。
夕食前の空きっ腹で酒を飲んだこともあり、既に自分がほろ酔いだという自覚はあった。バーで一杯しか飲まないのは失礼にあたるとネットの記事で読んだが、俺はもう二杯飲んでいる。
ここでお暇しても問題はないが――まだだ。
ここまでの絹さんとの会話でわかったことがある。それは、絹さんにとって俺が〝たまたま助けた男子〟以上のものではないということ。
俺が店にやってきた理由も〝よっぽどお酒が好きなのね!〟くらいにしか思ってなさげだったし、「お持ち帰りされちゃう?」っていう恋愛系の冗談は完全スルーだった。
(まあ……最初からわかってたけど)
ひと目見たときから俺には高嶺の花だった。飛び抜けて美人だし、大人だし。
