そういう男たちと同じ土俵で闘っても、学生である俺は分が悪い。
だから俺がとるべき戦略は一択。
大人の男に対抗するにあたって、俺にある武器は若さと勢い。
恐れずいこうぜ馬締! と自分で自分を奮い立たせた。
「そういえば」
と、さっき俺のアピールを華麗に無視した絹さんが、少し離れたシンクで洗い物をしながら話しかけてきた。カウンターにいたOLのふたりはさっき帰っていったので、今カウンター席にいるのは俺ひとり。
顔を向けると絹さんが、声のトーンは落としたまま言う。俺の手元のスクリュードライバーを控えめに指さして。テーブル席のお客さんの注意を引かないように気をつけているみたいだった。
「酔いやすいけど、ウォッカは蒸留酒だから。二日酔いになりやすい成分のメタノールが含まれてないぶん、適量を守れば翌日に残らないんだ」
「はあ」
「そういうお酒をいろいろ試してみたらどうかな」
「え?」
「お酒はいいものよ。気持ちをとろりとリラックスさせてくれて、人を陽気にしたりする。アルコールが入ると普段できない話ができたりするでしょう?」
