「うん?」
「もしかして俺、今夜絹さんにお持ち帰りされちゃう?」
頭の悪い男子大学生よろしく〝調子にのっちゃった〟風を装って。
けれどその実、めちゃくちゃ緊張していた。そっっっれはもう緊張していた。心臓がバクバク鳴ってて口から出てくるかと思った。それはもちろん、酒のせいなんかじゃない。
絹さんはしばらくきょとんとしていたかと思うと、ふっと笑って俺から視線をそらす。そしてどうしたかというと……何も言わずに今使った道具をシンクへ運んで洗い始めた。
(ああっ! 完全スルー……!!)
それが一番きちぃです!
なんか言って! せめて謝らせて!!
(さすがに品がなかったか……)
すぐさま自分の中で反省会を始める。今のは悪手だった。男として意識してもらうために攻めの姿勢は大切だけど、エロ系の冗談は絹さん、好きではないらしい。メモメモ。次からは気をつけよう。
ただ――基本戦略は間違っていないはずだ。
俺が狙うべきは〝放っておけない年下の男〟ポジ。
絹さんの職業がバーテンダーなことを考えると、店にはきっといろんな男がやってくる。その大半は俺よりも大人で、いろんな遊びを知ってて、話題も豊富なんだろう。
