みるみるうちにオレンジジュースは無色透明な酒と混じり合い、上から下まで均一なオレンジになる。
最後に絹さんはグラスにスライスしたオレンジを飾り、黒いマドラーを添えた。
「スクリュー・ドライバーです」
音もたてずに置かれたグラスの中身は不透明なオレンジ色。一見すると、ただのオレンジジュースに見えなくもない。
(スクリュードライバーか……)
名前は飲み屋で見たことがあるな。実際に頼んだことはないけど。
おずおずと手に取り、考える。
これが絹さんの考える〝今の俺が飲むべき酒〟?
酒を提供したあとの彼女は姿勢を正して体の前で手を組み、穏やかな微笑を浮かべて説明した。
「スクリュー・ドライバーは、ウォッカをオレンジジュースで割ったお酒」
「ウォッカ……」
ラベルの〝VODKA〟はウォッカと読むらしい。あまり詳しくないものの、ウォッカと聞くと漠然と、強い酒のイメージだけど……。
酒で大失敗したばかりの俺は少し慎重になる。
まだ二杯目だし、多少強い酒を飲んでも平気だろうか。
