ヘタレな俺はウブなアラサー美女を落としたい


 でも無理だった。今日一日びっくりするほど何も手につかなくて。何でもいいからとにかく行動を起こしたい。そして挙句の果てに、俺はこう考えるようになったのだ。

 ――強烈に記憶に残っている今こそ、逆にチャンスなのでは!?





 注文してから五分後には、さっき目にしたのと同じ緑の酒が目の前に提供されていた。丸みのある脚の長いグラスの中に不透明な淡い緑。上部にはきめ細やかな白い泡の層。

 見慣れない形のグラスをぎこちなく持って、グラスホッパーをひと口。


(……あっま)


 確かにこれはチョコミントだ。デザートみたいに甘くて口あたりがなめらか。僅かに感じる小さな氷の粒のシャリシャリ感が楽しい。飲み干すと手持ち無沙汰になってしまうので、俺は一杯のグラスホッパーをなるべくゆっくり飲むことにした。

 何をするでもなく俺がちびちびグラスに口をつけていたそのとき、ちょうどテーブル席にカクテルを運び終えた絹さんがカウンターの中に戻ってきた。ふと目が合い、微笑みかけられる。

 ……この人、誰にでもこうなのか?
 これ絶対に勘違いする男いるだろ。感じの悪いバーテンダーもどうかと思うけど、無差別な微笑みは罪深い。

 現に俺も、漏れなくドキッとしちゃったし……。