ヘタレな俺はウブなアラサー美女を落としたい



 ボブが黒髪ロングからグラスを渡され、ひと口。
 途端にボブの顔が幸せそうにふにゃっと緩む。


「チョコミントみたい! 甘くて飲みやすくて美味し~♡」


 ああ、それは確かに女の子が喜びそうなカクテルだ。女子に限らず、サークルにいるチョコミン党の男も絶対に好きなやつだ。今度教えてやろう。


「こんばんは」
「んがっ!」


 いつの間にか絹さんがすぐそばまでやってきていて、俺は情けない声をあげてしまった。慌てて自分の口を手で塞ぐ。初っ端からこれはいただけない。


「あれ? きみは……」
「あっ……ども」


 首の後ろを擦りながら軽く会釈をする。脳内シミュレーションでは第一声で明るく今朝の御礼をするはずが、なんだか途端に気恥ずかしくなって目を合わせられなくなった。〝また来たの?〟と思われてるよな、絶対……。

 絹さんからそう言われてしまうくらいなら、いっそ自分から「来ちゃった♡」とか言ったほうがいいだろうか。それくらい軽いノリのほうが後々話しやすいかも……。

 うん、そうだ!

 意を決して目線を上げると、絹さんがにこっと笑うのが見えた。

 あっ、可愛い。

 綺麗な微笑に俺が目を奪われている隙に、先手を奪われる。


「こちらへどうぞ」
「あ……」