ボブが黒髪ロングからグラスを渡され、ひと口。
途端にボブの顔が幸せそうにふにゃっと緩む。
「チョコミントみたい! 甘くて飲みやすくて美味し~♡」
ああ、それは確かに女の子が喜びそうなカクテルだ。女子に限らず、サークルにいるチョコミン党の男も絶対に好きなやつだ。今度教えてやろう。
「こんばんは」
「んがっ!」
いつの間にか絹さんがすぐそばまでやってきていて、俺は情けない声をあげてしまった。慌てて自分の口を手で塞ぐ。初っ端からこれはいただけない。
「あれ? きみは……」
「あっ……ども」
首の後ろを擦りながら軽く会釈をする。脳内シミュレーションでは第一声で明るく今朝の御礼をするはずが、なんだか途端に気恥ずかしくなって目を合わせられなくなった。〝また来たの?〟と思われてるよな、絶対……。
絹さんからそう言われてしまうくらいなら、いっそ自分から「来ちゃった♡」とか言ったほうがいいだろうか。それくらい軽いノリのほうが後々話しやすいかも……。
うん、そうだ!
意を決して目線を上げると、絹さんがにこっと笑うのが見えた。
あっ、可愛い。
綺麗な微笑に俺が目を奪われている隙に、先手を奪われる。
「こちらへどうぞ」
「あ……」
