あの店はどんな料金システムなんだろうと検索をかけてみたが、Silk Forestの公式サイトらしきページは見つけられなかった。だから、いくら金欠ではないとは言っても、いつもの財布の中身でふらっと立ち寄るのは少し気が引ける。
俺は入ったばかりのバイト代と今月発生する支出をじっくり見比べ、財布に一万円札を追加した。これだけあればいけるはず。今朝のカレーの代金を支払った上でカクテルを何杯か頼んだとして、会計時に足りないという事態にはならないはずだ。
予算について調べているときに服装に関する記述も見つけた。基本的にカジュアルな服装はOKで、店の雰囲気を壊す奇抜な服装はNGとのこと。そこまで変な服は持っていないが、普段よりはかっちりしていたほうがいいと判断。無難なクルーネックシャツにチノパン。上はテーラードジャケットを羽織ることにした。
「……よし」
緊張しながら店の前に立つ、夕方六時半。今朝俺が倒れていたのは大通りから一本入った道で、よく知らない道だったけど、店の名前を憶えていたお陰でたどりつくことができた。
